私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
2-13 ミルちゃんと命名
翌朝――
「ふわぁああああ……夜明けまで空を飛んでいたから寝不足だわ……」
木の上で私は何度目かの欠伸をした。
結局、昨夜は魔法使いに誘われるままに夜明けまで空中飛行を楽しんでしまった。
そして魔法使いは「また様子を見に来るね」と言って、太陽が登るのと同時に、消えてしまったのだ。
本当に謎多き魔法使いである。
「それにしても、初めて空の上から自分の今いる場所を確認したけれども……素敵な離宮だったわね。森に囲まれて、まるでシンデレラ城みたいだったな〜。あの城でクロードは暮らしてるなんて、本当に王子様だったのね」
けれど、クロードの置かれている状況が少し気がかりだった。魔法使い情報によると、彼は第一王子だというのに何故離宮で暮らしているのだろうか?
「まぁ、いずれ魔法使いが新たな情報を持ってきてくれるでしょうけど……それにしても……フワァァァァ……本当に眠いわ……」
少し昼寝でもしようかな……。
そして私は目を閉じた――
****
どのくらい眠っていただろうか……。
空腹感に見舞われ、私はパチリと目を開けた。
「う〜……お腹が空いたわね……そう言えば、昨夜一晩中飛び回っていたのに何も口にしていなかったわ……仕方ない! またあの虫を探して食べるしかないわね」
あの虫……言わずもがな、ミルワームのことである。あの虫の気持ち悪さは未だに慣れたものではないが、はっきり言って美味なのだ。
何故、あのような気持ち悪い姿をしているのに、美味しいのかは……多分永久に解けない謎だろう。
「さてと、それでは捕食に行こうかしら」
そしてバサリと羽を広げると、私は野菜畑へ向かって飛んでいった。
「う〜ん……庭師さんの姿はまだ無いわね……」
上空から野菜畑と、ついでに隣にある花壇に視線を移すも庭師さんの姿は見当たらない。
「まぁ、この時間にいるとは限らないしね」
けれど、今の私には時間の感覚というのがさっぱり分からなくなっていた。やはり時計が無いと時間の経過がさっぱり分からないのが困る。
「そうだわ! 今度魔法使いにあったら会ったら、今私が呪いに掛けられてどれくらい経過したのか教えてもらわなくちゃ!」
昨夜2人で夜間飛行を行ったお陰で何となく……何とな〜くだけど、魔法使いとの絆……のようなものが出来た気がする。
「そうね。不本意だけど、あの魔法使いにも媚を売っておいたほうが良いかもね。ひょっとすると呪いの緩和をしてくれるかもしれないし」
けれど、自分で呪いを解除することは出来ない……らしきことを言っていたからあまり期待はしないでおこう。
「よし、着陸っと!」
ホウホウと喉を鳴らしながらバサリと野菜畑に降り立つ私。
「さてと……ミルちゃんはいるかな〜……」
ミルちゃん……。当然、これはミルワームのことである。見た目が不気味なので、せめて可愛らしいニックネームを付けてあげることに今、決めた。
「あ! いた! 見つけた! ミルちゃん!」
そして、私は目をつぶりながら1匹、2匹、3匹……とミルちゃんを捕食していく。
「う〜ん……それにしても最近クロードを見ないわね……一体どうしたのかしら?」
ミルちゃんをゴクンと飲み込みながら、ふとクロードのことが頭をよぎった。
「よし! 今の私はフクロウ。城まで飛んでいって、クロードが何処にいるか探して見ようかな。その為にはまず栄養を付けないとね〜」
そして私は満腹になるまでミルちゃんを捕食した――
「ふわぁああああ……夜明けまで空を飛んでいたから寝不足だわ……」
木の上で私は何度目かの欠伸をした。
結局、昨夜は魔法使いに誘われるままに夜明けまで空中飛行を楽しんでしまった。
そして魔法使いは「また様子を見に来るね」と言って、太陽が登るのと同時に、消えてしまったのだ。
本当に謎多き魔法使いである。
「それにしても、初めて空の上から自分の今いる場所を確認したけれども……素敵な離宮だったわね。森に囲まれて、まるでシンデレラ城みたいだったな〜。あの城でクロードは暮らしてるなんて、本当に王子様だったのね」
けれど、クロードの置かれている状況が少し気がかりだった。魔法使い情報によると、彼は第一王子だというのに何故離宮で暮らしているのだろうか?
「まぁ、いずれ魔法使いが新たな情報を持ってきてくれるでしょうけど……それにしても……フワァァァァ……本当に眠いわ……」
少し昼寝でもしようかな……。
そして私は目を閉じた――
****
どのくらい眠っていただろうか……。
空腹感に見舞われ、私はパチリと目を開けた。
「う〜……お腹が空いたわね……そう言えば、昨夜一晩中飛び回っていたのに何も口にしていなかったわ……仕方ない! またあの虫を探して食べるしかないわね」
あの虫……言わずもがな、ミルワームのことである。あの虫の気持ち悪さは未だに慣れたものではないが、はっきり言って美味なのだ。
何故、あのような気持ち悪い姿をしているのに、美味しいのかは……多分永久に解けない謎だろう。
「さてと、それでは捕食に行こうかしら」
そしてバサリと羽を広げると、私は野菜畑へ向かって飛んでいった。
「う〜ん……庭師さんの姿はまだ無いわね……」
上空から野菜畑と、ついでに隣にある花壇に視線を移すも庭師さんの姿は見当たらない。
「まぁ、この時間にいるとは限らないしね」
けれど、今の私には時間の感覚というのがさっぱり分からなくなっていた。やはり時計が無いと時間の経過がさっぱり分からないのが困る。
「そうだわ! 今度魔法使いにあったら会ったら、今私が呪いに掛けられてどれくらい経過したのか教えてもらわなくちゃ!」
昨夜2人で夜間飛行を行ったお陰で何となく……何とな〜くだけど、魔法使いとの絆……のようなものが出来た気がする。
「そうね。不本意だけど、あの魔法使いにも媚を売っておいたほうが良いかもね。ひょっとすると呪いの緩和をしてくれるかもしれないし」
けれど、自分で呪いを解除することは出来ない……らしきことを言っていたからあまり期待はしないでおこう。
「よし、着陸っと!」
ホウホウと喉を鳴らしながらバサリと野菜畑に降り立つ私。
「さてと……ミルちゃんはいるかな〜……」
ミルちゃん……。当然、これはミルワームのことである。見た目が不気味なので、せめて可愛らしいニックネームを付けてあげることに今、決めた。
「あ! いた! 見つけた! ミルちゃん!」
そして、私は目をつぶりながら1匹、2匹、3匹……とミルちゃんを捕食していく。
「う〜ん……それにしても最近クロードを見ないわね……一体どうしたのかしら?」
ミルちゃんをゴクンと飲み込みながら、ふとクロードのことが頭をよぎった。
「よし! 今の私はフクロウ。城まで飛んでいって、クロードが何処にいるか探して見ようかな。その為にはまず栄養を付けないとね〜」
そして私は満腹になるまでミルちゃんを捕食した――