私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
2-18 冗談じゃない!
魔法使いに言われた通り、目を閉じると私の頭の中にあるイメージが浮かび上がってきた。
風が吹きすさぶ荒れ地に一塊になって咲く黄色の可憐な花々……。
「あ! 見えたわ! あれが『シルフィー』の花ね!」
目を閉じながら私は叫んだ。
なんとなく「アブラナ」に似たハーブ。あれなら間違えずに取ってこれそうだ。
「ありがとう、もういいわよ」
「……」
声を掛けるも、何故か魔法使いは無言のまま未だに私に頭を付けている。
「ちょ、ちょっともういいってば!」
「しっ!」
すると、何故か私の言葉を遮る魔法使い。
「な、何?」
「まだ映像は終わっていないから良く見て……」
「え? う、うん……」
言われるまま、私は目を閉じると再び映像が頭の中に浮かんできた。
荒れ地に花咲く『シルフィー』。そして映像が後ろに引かれ? 徐々に周囲の風景の全体像が見えてくる。
そして……私は衝撃の光景を目にする。
何と『シルフィー』の近くで眠る巨大なトカゲに、その周辺をうろつく狼。さらには頭上に飛び交うハゲタカの群れ。
「どう? 見えたかな?」
魔法使いは私から頭を離すとにこやかに尋ねてきた。
「ええ、ええ、見えましたとも! 可憐な『シルフィー』の花と恐ろしい敵? の姿がね!」
「そうかい? はっきり見えただろう? 何しろこの幻灯魔法は中々高度な技術を有する魔法でね、僕のように偉大な魔法使いでなければ使いこなすことが困難なんだよ」
得意げに語る魔法使い。けれど、そんな事はどうだっていい。
「ちょっとぉ! な、な、何なのよ! あの回りにいる危険生物たちは! し、し、しかもあんな巨大なトカゲ、初めて見るわよ!」
「え? トカゲ? もしかしてドラゴンのことを言っているのかい?」
「え……ドラゴン……? ド、ドラゴンですってっ!? そ、そ、そんな生き物がこの世界には生息しているっていうの!? まさかファンタジーな生物がこの世に存在するなんて!」
衝撃な話にショックを受け、様々な言い回しをする私。
すると私の慌てふためく様子に魔法使いは腕を組んで怪訝そうに首を傾げた。
「あれ……? 妙だなぁ…。この世界にドラゴンが生息しているのは一般常識なのに、そんなに驚くなんて……」
「驚くのは当然でしょう!! ド、ドラゴンなんて!! あ、ありえないでしょう! 私のいた世界ではね、ドラゴンなんていないのよ! 全てファンタジーな世界の生き物なんだから!」
「そっか〜……それじゃやっぱり君がサファイアに憑依したっていう話は本当だったのかなぁ?」
「は?」
今更ながらの魔法使いの態度に間の抜けた返事をする私。
「え? ちょ、ちょっとまってよ! それじゃ今迄貴方は私の話を信じていなかったってわけ? 何度も言ったわよね? 私はサファイアじゃない、この身体に憑依してしまっただけだって!!」
「う〜ん……確かにそう言っていたのは覚えているけど、何かの冗談だと思っていたんだよね?」
「冗談でそんな事言うはずないでしょーっ!!」
私の叫び声が森に響き渡った――
風が吹きすさぶ荒れ地に一塊になって咲く黄色の可憐な花々……。
「あ! 見えたわ! あれが『シルフィー』の花ね!」
目を閉じながら私は叫んだ。
なんとなく「アブラナ」に似たハーブ。あれなら間違えずに取ってこれそうだ。
「ありがとう、もういいわよ」
「……」
声を掛けるも、何故か魔法使いは無言のまま未だに私に頭を付けている。
「ちょ、ちょっともういいってば!」
「しっ!」
すると、何故か私の言葉を遮る魔法使い。
「な、何?」
「まだ映像は終わっていないから良く見て……」
「え? う、うん……」
言われるまま、私は目を閉じると再び映像が頭の中に浮かんできた。
荒れ地に花咲く『シルフィー』。そして映像が後ろに引かれ? 徐々に周囲の風景の全体像が見えてくる。
そして……私は衝撃の光景を目にする。
何と『シルフィー』の近くで眠る巨大なトカゲに、その周辺をうろつく狼。さらには頭上に飛び交うハゲタカの群れ。
「どう? 見えたかな?」
魔法使いは私から頭を離すとにこやかに尋ねてきた。
「ええ、ええ、見えましたとも! 可憐な『シルフィー』の花と恐ろしい敵? の姿がね!」
「そうかい? はっきり見えただろう? 何しろこの幻灯魔法は中々高度な技術を有する魔法でね、僕のように偉大な魔法使いでなければ使いこなすことが困難なんだよ」
得意げに語る魔法使い。けれど、そんな事はどうだっていい。
「ちょっとぉ! な、な、何なのよ! あの回りにいる危険生物たちは! し、し、しかもあんな巨大なトカゲ、初めて見るわよ!」
「え? トカゲ? もしかしてドラゴンのことを言っているのかい?」
「え……ドラゴン……? ド、ドラゴンですってっ!? そ、そ、そんな生き物がこの世界には生息しているっていうの!? まさかファンタジーな生物がこの世に存在するなんて!」
衝撃な話にショックを受け、様々な言い回しをする私。
すると私の慌てふためく様子に魔法使いは腕を組んで怪訝そうに首を傾げた。
「あれ……? 妙だなぁ…。この世界にドラゴンが生息しているのは一般常識なのに、そんなに驚くなんて……」
「驚くのは当然でしょう!! ド、ドラゴンなんて!! あ、ありえないでしょう! 私のいた世界ではね、ドラゴンなんていないのよ! 全てファンタジーな世界の生き物なんだから!」
「そっか〜……それじゃやっぱり君がサファイアに憑依したっていう話は本当だったのかなぁ?」
「は?」
今更ながらの魔法使いの態度に間の抜けた返事をする私。
「え? ちょ、ちょっとまってよ! それじゃ今迄貴方は私の話を信じていなかったってわけ? 何度も言ったわよね? 私はサファイアじゃない、この身体に憑依してしまっただけだって!!」
「う〜ん……確かにそう言っていたのは覚えているけど、何かの冗談だと思っていたんだよね?」
「冗談でそんな事言うはずないでしょーっ!!」
私の叫び声が森に響き渡った――