私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
2-22 フクロウの挑戦
「何それっ!? たった1時間しか効果がないなんて信じられない! 大体今の私があの山に行くだけで片道どれくらいで行けるのよ!」
バサバサ羽を広げて、魔法使いを突っつきながら抗議する。
「ひぃぃいい! い、痛い! 痛いってば! お、恐らく急げば40分位で…辿り着けるんじゃ……うわあああ!! お、落ち着いてよ!」
「ちょっと! 何が片道40分よ!! それじゃ私に死ねと言ってるようなものじゃないの!!」
さらに突っつき攻撃をする。……パワーアップした状態で。
「そ、そんなことより! は、早く向かったほうがいいんじゃないかなぁ!? も、文句なら後でいくらでも聞くからさ!!」
魔法使いの言葉に我に返った。
「そうよ! こんなことしてる場合じゃなかったわ! 魔法の効果が続いている間に行かなくちゃ!」
羽をバサァッと広げて、私は木の上から飛び立った。
ザッ!!
え? な、何!? 身体が妙に軽い! 空を飛ぶ私の耳元ではゴウゴウと風を切る音が聞こえて来る。まるで新幹線のようなスピードで私はすっかり興奮していた。
「すごい! すごいわ!! これなら40分どころか10分位で辿り着けるんじゃないかしら!」
私は歓喜しながら山に向かって飛び続け……自分の考えが甘かったことに気付かされる――
****
山に辿り着いた私は山頂目指して飛んでいた。
「くぅっ! な、なんて強い風なのかしら!! む、向かい風が……!!」
山頂に近付くにつれて、辺り一面は強い風がビュウビュウと吹きすさんでいる。まるで来る者を拒むかのようだ。目を開けているのも辛い。
「魔法使いが言ってたのは……こ、このことだったのね……! で、でも負けないんだから!! 『シルフィー』を無事に摘んで‥‥…クロードに届けたついでに……人間の姿に戻ってやるんだからーっ! キャアッ!!」
その直後――
ゴウッ!!
今までで一番強い風が私にぶち当たって来た。
「イヤアアアアア!!」
強風に巻き込まれた私の身体はくるくる円を描きながら後ろに飛ばされる。そして背後にせまる巨木。
ぶつかる!!
そう思った瞬間、ピタリと私の身体が空中で止まる。
「え? これは何?」
すると、突然頭の中で魔法使いの声が響き渡る。
<大丈夫だったかい!! サファイア!>
その声は随分切羽詰まって聞こえた。
「だ、大丈夫だけど……いきなり頭の中に話しかけないでよ! お、驚くじゃない!」
<うん、ごめん。でも無事で良かった。もう少し進めば風がやむから>
「そうなのね!」
<頑張るんだよ、サファイア。エメラルドには気を付けて>
「え? 何よ! エメラルドって!」
しかし、それきり魔法使いの通信?は途絶えてしまった。
「こらーっ! 話はまだ終わっていないでしょーっ!!」
私は無責任な魔法使いの顔を鋭い爪でひっかく姿を想像しながら、山頂目指し追て飛び続けた。
「見えた!! あれが頂きね!」
そしてついに私は山頂に辿り着き……身震いするのだった。
色々な意味で――
バサバサ羽を広げて、魔法使いを突っつきながら抗議する。
「ひぃぃいい! い、痛い! 痛いってば! お、恐らく急げば40分位で…辿り着けるんじゃ……うわあああ!! お、落ち着いてよ!」
「ちょっと! 何が片道40分よ!! それじゃ私に死ねと言ってるようなものじゃないの!!」
さらに突っつき攻撃をする。……パワーアップした状態で。
「そ、そんなことより! は、早く向かったほうがいいんじゃないかなぁ!? も、文句なら後でいくらでも聞くからさ!!」
魔法使いの言葉に我に返った。
「そうよ! こんなことしてる場合じゃなかったわ! 魔法の効果が続いている間に行かなくちゃ!」
羽をバサァッと広げて、私は木の上から飛び立った。
ザッ!!
え? な、何!? 身体が妙に軽い! 空を飛ぶ私の耳元ではゴウゴウと風を切る音が聞こえて来る。まるで新幹線のようなスピードで私はすっかり興奮していた。
「すごい! すごいわ!! これなら40分どころか10分位で辿り着けるんじゃないかしら!」
私は歓喜しながら山に向かって飛び続け……自分の考えが甘かったことに気付かされる――
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山に辿り着いた私は山頂目指して飛んでいた。
「くぅっ! な、なんて強い風なのかしら!! む、向かい風が……!!」
山頂に近付くにつれて、辺り一面は強い風がビュウビュウと吹きすさんでいる。まるで来る者を拒むかのようだ。目を開けているのも辛い。
「魔法使いが言ってたのは……こ、このことだったのね……! で、でも負けないんだから!! 『シルフィー』を無事に摘んで‥‥…クロードに届けたついでに……人間の姿に戻ってやるんだからーっ! キャアッ!!」
その直後――
ゴウッ!!
今までで一番強い風が私にぶち当たって来た。
「イヤアアアアア!!」
強風に巻き込まれた私の身体はくるくる円を描きながら後ろに飛ばされる。そして背後にせまる巨木。
ぶつかる!!
そう思った瞬間、ピタリと私の身体が空中で止まる。
「え? これは何?」
すると、突然頭の中で魔法使いの声が響き渡る。
<大丈夫だったかい!! サファイア!>
その声は随分切羽詰まって聞こえた。
「だ、大丈夫だけど……いきなり頭の中に話しかけないでよ! お、驚くじゃない!」
<うん、ごめん。でも無事で良かった。もう少し進めば風がやむから>
「そうなのね!」
<頑張るんだよ、サファイア。エメラルドには気を付けて>
「え? 何よ! エメラルドって!」
しかし、それきり魔法使いの通信?は途絶えてしまった。
「こらーっ! 話はまだ終わっていないでしょーっ!!」
私は無責任な魔法使いの顔を鋭い爪でひっかく姿を想像しながら、山頂目指し追て飛び続けた。
「見えた!! あれが頂きね!」
そしてついに私は山頂に辿り着き……身震いするのだった。
色々な意味で――