私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
1−5 蛙(私)の食べ物って……?
無責任な魔法使いに危険生物が生息する森に置き去りにされてしまった私。
自分の真っ白な身体が目立たない場所が無いか探して飛び回っていると、遠くの方に白い花々が咲き乱れている場所を発見した。
『あ! なんてラッキーなの! とりあえずあの場所なら自分の白い身体を隠せそう! 急がなくちゃ!』
ぴょんぴょん跳ねながら、私は必死になって白い花が咲き乱れる場所へ向かった。
****
ようやくたどり着いた場所は綺麗なレンガに囲まれた花壇だった。
『え? 花壇……? ということはこの近くに人が住んでいるのかな……?』
キョロキョロ辺りを見渡しても、今の私は所詮蛙。地面が近すぎて遠くまで見通せるはずが無い。
『でも人が住んでいるからって……そこが安心出来るとは限らないし……。これが人の言葉が話せる蛙だったら、まだ保護してもらえたかも知れないけれど』
けれど逆に保護されたら今度は面白い生命体を発見したということで、その人物は私を見世物にしたりひょっとしたら解剖なんて真似をするかもしれない。
『ということは、ひと目につかず、なおかつ敵に捕食されないように息を潜めて生きて……ってそれじゃ駄目じゃーん!!』
ケロケロと私は天に向かって叫んだ。
そうだ。あのイケメンだけど冷血非道な魔法使いは元の姿に戻る為にはどうすればいいと言っていた?
脳内で無責任魔法使いの言葉を再生してみる。
<いいかい? これから君は人に感謝される行動を取っていくんだよ? 誰かが心から君に感謝の言葉を伝えるほどに、呪いの鍵が解除されていく。そうすればいずれ元の姿に戻れるさ>
何よ……つまり、積極的に関わって人助けをしなければ私は元の姿に戻れないってことじゃない!!
私は心の中で叫んだ。
何故口に出さずに心の中で叫んだかと言うと、もうこれ以上自分の口から発せられる「ケロケロ」という鳴き声を聞きたくなかったからだ。
おまけに「ケロケロ」と鳴けば先程のように敵に居場所を知られて、襲われて捕食されてしまうかもしれない。
つまり私は人助けをしつつ、捕食されないように気を使いながらこの先、生きていかなければならないのだ。
『酷い! あの魔法使い……もし、私が捕食されて死んでしまったら絶対に化けて出てやるんだからね!!』
興奮のあまり、再びケロケロと叫んだ私。そして次に、自分がお腹が空いていることに気付いた。
『ううぅ……逃げたり、叫んだりしたものだからお腹が空いてきちゃった……』
けれど、今の私は蛙。蛙は一体何を食べて生きているのだろう……?
その時、ふと私の目の前に葉っぱについているアブラムシが目に止まった。
アブラムシ……。
ここではっきり言っておきたい。私は両生類も嫌いだけれど、虫はもっと嫌いだった。
それなのに……何故だろう。目の前のアブラムシが非常に美味しそうに見えてしまう。
『美味しそう……一口だけ……』
言いかけて、慌てて首を振った。
『駄目駄目駄目!! 虫を食べるなんて冗談じゃない!! 私は人間なのよ! 今ここで……アブラムシなんか食べたら、もう終わりよ!! 人間としての尊厳を失うわけにはいかないのよーっ!!』
興奮のあまり、再びケロケロと叫んだ時――
「へ〜……珍しいな。真っ白な蛙なんて初めて見た」
背後から突然声が降ってきた――
自分の真っ白な身体が目立たない場所が無いか探して飛び回っていると、遠くの方に白い花々が咲き乱れている場所を発見した。
『あ! なんてラッキーなの! とりあえずあの場所なら自分の白い身体を隠せそう! 急がなくちゃ!』
ぴょんぴょん跳ねながら、私は必死になって白い花が咲き乱れる場所へ向かった。
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ようやくたどり着いた場所は綺麗なレンガに囲まれた花壇だった。
『え? 花壇……? ということはこの近くに人が住んでいるのかな……?』
キョロキョロ辺りを見渡しても、今の私は所詮蛙。地面が近すぎて遠くまで見通せるはずが無い。
『でも人が住んでいるからって……そこが安心出来るとは限らないし……。これが人の言葉が話せる蛙だったら、まだ保護してもらえたかも知れないけれど』
けれど逆に保護されたら今度は面白い生命体を発見したということで、その人物は私を見世物にしたりひょっとしたら解剖なんて真似をするかもしれない。
『ということは、ひと目につかず、なおかつ敵に捕食されないように息を潜めて生きて……ってそれじゃ駄目じゃーん!!』
ケロケロと私は天に向かって叫んだ。
そうだ。あのイケメンだけど冷血非道な魔法使いは元の姿に戻る為にはどうすればいいと言っていた?
脳内で無責任魔法使いの言葉を再生してみる。
<いいかい? これから君は人に感謝される行動を取っていくんだよ? 誰かが心から君に感謝の言葉を伝えるほどに、呪いの鍵が解除されていく。そうすればいずれ元の姿に戻れるさ>
何よ……つまり、積極的に関わって人助けをしなければ私は元の姿に戻れないってことじゃない!!
私は心の中で叫んだ。
何故口に出さずに心の中で叫んだかと言うと、もうこれ以上自分の口から発せられる「ケロケロ」という鳴き声を聞きたくなかったからだ。
おまけに「ケロケロ」と鳴けば先程のように敵に居場所を知られて、襲われて捕食されてしまうかもしれない。
つまり私は人助けをしつつ、捕食されないように気を使いながらこの先、生きていかなければならないのだ。
『酷い! あの魔法使い……もし、私が捕食されて死んでしまったら絶対に化けて出てやるんだからね!!』
興奮のあまり、再びケロケロと叫んだ私。そして次に、自分がお腹が空いていることに気付いた。
『ううぅ……逃げたり、叫んだりしたものだからお腹が空いてきちゃった……』
けれど、今の私は蛙。蛙は一体何を食べて生きているのだろう……?
その時、ふと私の目の前に葉っぱについているアブラムシが目に止まった。
アブラムシ……。
ここではっきり言っておきたい。私は両生類も嫌いだけれど、虫はもっと嫌いだった。
それなのに……何故だろう。目の前のアブラムシが非常に美味しそうに見えてしまう。
『美味しそう……一口だけ……』
言いかけて、慌てて首を振った。
『駄目駄目駄目!! 虫を食べるなんて冗談じゃない!! 私は人間なのよ! 今ここで……アブラムシなんか食べたら、もう終わりよ!! 人間としての尊厳を失うわけにはいかないのよーっ!!』
興奮のあまり、再びケロケロと叫んだ時――
「へ〜……珍しいな。真っ白な蛙なんて初めて見た」
背後から突然声が降ってきた――