私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
3-14 誤解だってば!
その夜のこと――
いつものようにクロードと同じベッドに潜り込んで眠っていると、風が入って来る気配を感じた。
「う~ん……窓でも開いていたかしら?」
ムクリと起き上がり、窓を見ると月明かりで青白く照らされたバルコニーに人影が立っていることに気付いた。
「あ! あれは魔法使いじゃない!」
慌てててベッドから飛び降りると、私はバルコニーへ向かって駆けた。
少しだけ開かれた窓からバルコニーへ飛び出すと、思った通りそこに立っていたのはやはり魔法使いだった。
「やぁ、こんばんは。サファイア、随分ご無沙汰だったね?」
魔法使いはおどけた様子で、被っていたフードを外した。
「ご無沙汰だったねじゃないわよ! 何であれから全く音沙汰が無かったのよ! どれくらい私が放置されていたと思う? 何と1週間よ? 1週間!」
すると何故か魔法使いは嬉しそうに口元に笑みを浮かべた。
「へ~もしかしてサファイア。僕が会いに来ないから寂しかったのかな?」
「そ、そんなはず無いでしょう!? こっちは快適な猫ライフをおくっていたんだから! そ、それに貴方は私を呪いに掛けた張本人なんだから責任もって私の様子を定期的に見に来る必要があるんじゃないの!?
寂しい? それは確かにそんな気持ちはあったけれど……だけど、絶対に魔法使いに本心は知られたくない! 何故か負けた気がしてしまうからだ。
「そうか……残念だなぁ……僕はサファイアに会えなくて寂しい思いをしていたってうのに……」
がっくりと肩を落とす魔法使い。
「え? それってひょっとして……?」
まさか魔法使いは私のことを……?
「それにしても……くぅっ! な、何て情けない……! 僕は君をそんなふしだらな猫にするつもりは無かったのに……! ちょっと会わない間に……男と同じベッドで眠るなんて……!」
魔法使いは片手で顔を覆いつくし、上を見上げると肩を震わせた。
「はぁあああああっ!? ちょ、ちょっと! 誤解を招くようなセリフを言うのよ! 何考えてるの!? だ、大体今の私はただの猫なんだから! な勘ぐりするのはやめてよね!」
全身の毛を逆立てながら猛反発する私。
すると……。
「プッ!」
突然魔法使いが吹きだし…‥次の瞬間――
「アーハッハッハッ……!」
大きな声で笑い出した。
「ちょ、ちょっと! こんなところで大きな声で笑わないでよ! クロードが起きてしまうでしょ?!」
「だ、大丈夫だよ……アーハッハッハッ…‥‥! 僕の声も姿も他の人には見えないからさ」
「あ、あら? そうなの? なら別に構わないけど」
何しろ、偉大な魔法使い(自称)と言ってる位なのだから自分の姿も声も消すことくらい彼にしては容易いことなのだろう。
「クーッ!アハハハハハハ……だ、ダメだ。笑い時にしそうだ……!」
それにしても相変わらずよく笑う魔法使いだ。未だにお腹を押さえて笑い続けている。
「ちょっとぉ! いつまで笑い続けてるのよ!いい加減にしてよね!」
「ご、ごめ……クックックッ……」
魔法使いは眼鏡を外すと涙を拭う。
「くっ……! あ、相変わらずのイケメンね……!」
クロードが太陽に例えるなら、クロードは月のように光輝く美しさを持っていると言えるだろう。
「ん? 何か言ったかな?」
魔法使いは眼鏡を掛けると尋ねてきた。
あ~あ。勿体ない。今日は30秒も美しい顔を見れなかったわ。
「別に、何でもない! それで? 今夜は一体何しに来たの? 何で1週間もこなかったのよ」
すると魔法使いの口から意外な言葉が飛び出した。
「うん、ちょっとね……ギルバート王子のことについて色々調べていたんだよ」
その声は……今までに無いくらい真剣な声に聞こえた――
いつものようにクロードと同じベッドに潜り込んで眠っていると、風が入って来る気配を感じた。
「う~ん……窓でも開いていたかしら?」
ムクリと起き上がり、窓を見ると月明かりで青白く照らされたバルコニーに人影が立っていることに気付いた。
「あ! あれは魔法使いじゃない!」
慌てててベッドから飛び降りると、私はバルコニーへ向かって駆けた。
少しだけ開かれた窓からバルコニーへ飛び出すと、思った通りそこに立っていたのはやはり魔法使いだった。
「やぁ、こんばんは。サファイア、随分ご無沙汰だったね?」
魔法使いはおどけた様子で、被っていたフードを外した。
「ご無沙汰だったねじゃないわよ! 何であれから全く音沙汰が無かったのよ! どれくらい私が放置されていたと思う? 何と1週間よ? 1週間!」
すると何故か魔法使いは嬉しそうに口元に笑みを浮かべた。
「へ~もしかしてサファイア。僕が会いに来ないから寂しかったのかな?」
「そ、そんなはず無いでしょう!? こっちは快適な猫ライフをおくっていたんだから! そ、それに貴方は私を呪いに掛けた張本人なんだから責任もって私の様子を定期的に見に来る必要があるんじゃないの!?
寂しい? それは確かにそんな気持ちはあったけれど……だけど、絶対に魔法使いに本心は知られたくない! 何故か負けた気がしてしまうからだ。
「そうか……残念だなぁ……僕はサファイアに会えなくて寂しい思いをしていたってうのに……」
がっくりと肩を落とす魔法使い。
「え? それってひょっとして……?」
まさか魔法使いは私のことを……?
「それにしても……くぅっ! な、何て情けない……! 僕は君をそんなふしだらな猫にするつもりは無かったのに……! ちょっと会わない間に……男と同じベッドで眠るなんて……!」
魔法使いは片手で顔を覆いつくし、上を見上げると肩を震わせた。
「はぁあああああっ!? ちょ、ちょっと! 誤解を招くようなセリフを言うのよ! 何考えてるの!? だ、大体今の私はただの猫なんだから! な勘ぐりするのはやめてよね!」
全身の毛を逆立てながら猛反発する私。
すると……。
「プッ!」
突然魔法使いが吹きだし…‥次の瞬間――
「アーハッハッハッ……!」
大きな声で笑い出した。
「ちょ、ちょっと! こんなところで大きな声で笑わないでよ! クロードが起きてしまうでしょ?!」
「だ、大丈夫だよ……アーハッハッハッ…‥‥! 僕の声も姿も他の人には見えないからさ」
「あ、あら? そうなの? なら別に構わないけど」
何しろ、偉大な魔法使い(自称)と言ってる位なのだから自分の姿も声も消すことくらい彼にしては容易いことなのだろう。
「クーッ!アハハハハハハ……だ、ダメだ。笑い時にしそうだ……!」
それにしても相変わらずよく笑う魔法使いだ。未だにお腹を押さえて笑い続けている。
「ちょっとぉ! いつまで笑い続けてるのよ!いい加減にしてよね!」
「ご、ごめ……クックックッ……」
魔法使いは眼鏡を外すと涙を拭う。
「くっ……! あ、相変わらずのイケメンね……!」
クロードが太陽に例えるなら、クロードは月のように光輝く美しさを持っていると言えるだろう。
「ん? 何か言ったかな?」
魔法使いは眼鏡を掛けると尋ねてきた。
あ~あ。勿体ない。今日は30秒も美しい顔を見れなかったわ。
「別に、何でもない! それで? 今夜は一体何しに来たの? 何で1週間もこなかったのよ」
すると魔法使いの口から意外な言葉が飛び出した。
「うん、ちょっとね……ギルバート王子のことについて色々調べていたんだよ」
その声は……今までに無いくらい真剣な声に聞こえた――