私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
3-17 私に出来ること
長い廊下をクロードが歩いていると、使用人の人たちがすれ違う。
「こんにちは、クロード様」
「お加減はいかがですか?」
「お食事は召し上がれましたか?」
誰もが気さくにクロードに話しかけ、彼も皆に笑顔で答えている。
うん。クロードは王子でありながらフレンドリーだから、使用人の人たちから大切にされているのだろう。
「ここだよ、ミルク」
私達が辿り着いたのは茶色の扉のついた部屋だった。
「これが僕のアトリエだよ」
そしてクロードは扉を開けた。
キィ〜……
扉を開けると、そこにはありとあらゆる画材道具が整然と並べられていた。
大小様々なキャンバス、綺麗に並べられた画材セット……。
「ニャニャン! ニャニャニャニャン!」
(すごい! まるでお店みたいね!)
感動のあまり、私はキョロキョロ辺りを見渡した。さすがは王族、この部屋だけで商売が出来そうだ。
「気に入ったかい? それじゃちょっと絵の具を探してくるから、ミルクはここで待っていてくれるかな?」
クロードは私を床にストンと下ろすと、部屋の奥へと入っていく。
「う〜ん……確かこの辺りに色別に分けていた絵の具があったはずなんだけどな……」
クロードは大きなイーゼルや、等身大の木製マネキンが並べられている付近をゴソゴソ探し回っている。
「私の手伝えることでは無さそうね。それじゃちょっと色々見て回ろうかしら」
私は絵の具を探しているクロードの側から離れ、壁に掛けてある絵画を見て回った。
その絵画はどれもこの城の周辺の景色を描いたようで、私が見覚えのある景色も中にはある。
「すごい。まるで写真みたい……だけど……」
私は少しクロードが気の毒に思えてきた。何故ならここに並べられている絵画はどれも全てこの城の情景ばかりだからだ。
恐らく、身体が弱いクロードはこの城の敷地までしか出歩くことが出来ないのだろう。
いくら恵まれた身分に生まれても、クロードはまるでカゴの中の鳥のように思えてならない。
「クロード……可愛そうだわ……」
その時――
ガターンッ!! ガタッ!!
「うわあっ!!」
背後で大きな音と共に、クロードの叫び声が聞こえた。
「え!? クロードッ!?」
私は大急ぎで先程クロードがいた場所を目指し……目を見開いた。
クロードが棚の下敷きになり、苦しんでいたからだ。
「う……」
「ニャーン!! ニャニャン!!」
(クロードッ!! しっかり!!)
棚の下敷きになっているクロードの回りを私はニャンニャン鳴きながら必死で声を掛けた。
倒れてきた棚で怪我でもしたのか、クロードの額からは血が出ている。うめき声を上げているクロードは目を閉じて、荒い息を吐いている。
「クロード!!」
どうしよう、今の猫の私では何の力にもなれない。ただクロードの身を案じて鳴くことしか出来ないなんて……!
こうなったら方法は唯一。
「クロード!! 頑張ってね! 私が今すぐ誰か助けを呼んでくるから!」
それだけ告げると、私は扉へ向かって駆け出した――
「こんにちは、クロード様」
「お加減はいかがですか?」
「お食事は召し上がれましたか?」
誰もが気さくにクロードに話しかけ、彼も皆に笑顔で答えている。
うん。クロードは王子でありながらフレンドリーだから、使用人の人たちから大切にされているのだろう。
「ここだよ、ミルク」
私達が辿り着いたのは茶色の扉のついた部屋だった。
「これが僕のアトリエだよ」
そしてクロードは扉を開けた。
キィ〜……
扉を開けると、そこにはありとあらゆる画材道具が整然と並べられていた。
大小様々なキャンバス、綺麗に並べられた画材セット……。
「ニャニャン! ニャニャニャニャン!」
(すごい! まるでお店みたいね!)
感動のあまり、私はキョロキョロ辺りを見渡した。さすがは王族、この部屋だけで商売が出来そうだ。
「気に入ったかい? それじゃちょっと絵の具を探してくるから、ミルクはここで待っていてくれるかな?」
クロードは私を床にストンと下ろすと、部屋の奥へと入っていく。
「う〜ん……確かこの辺りに色別に分けていた絵の具があったはずなんだけどな……」
クロードは大きなイーゼルや、等身大の木製マネキンが並べられている付近をゴソゴソ探し回っている。
「私の手伝えることでは無さそうね。それじゃちょっと色々見て回ろうかしら」
私は絵の具を探しているクロードの側から離れ、壁に掛けてある絵画を見て回った。
その絵画はどれもこの城の周辺の景色を描いたようで、私が見覚えのある景色も中にはある。
「すごい。まるで写真みたい……だけど……」
私は少しクロードが気の毒に思えてきた。何故ならここに並べられている絵画はどれも全てこの城の情景ばかりだからだ。
恐らく、身体が弱いクロードはこの城の敷地までしか出歩くことが出来ないのだろう。
いくら恵まれた身分に生まれても、クロードはまるでカゴの中の鳥のように思えてならない。
「クロード……可愛そうだわ……」
その時――
ガターンッ!! ガタッ!!
「うわあっ!!」
背後で大きな音と共に、クロードの叫び声が聞こえた。
「え!? クロードッ!?」
私は大急ぎで先程クロードがいた場所を目指し……目を見開いた。
クロードが棚の下敷きになり、苦しんでいたからだ。
「う……」
「ニャーン!! ニャニャン!!」
(クロードッ!! しっかり!!)
棚の下敷きになっているクロードの回りを私はニャンニャン鳴きながら必死で声を掛けた。
倒れてきた棚で怪我でもしたのか、クロードの額からは血が出ている。うめき声を上げているクロードは目を閉じて、荒い息を吐いている。
「クロード!!」
どうしよう、今の猫の私では何の力にもなれない。ただクロードの身を案じて鳴くことしか出来ないなんて……!
こうなったら方法は唯一。
「クロード!! 頑張ってね! 私が今すぐ誰か助けを呼んでくるから!」
それだけ告げると、私は扉へ向かって駆け出した――