私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
3-18 猫の挑戦
「うう……困ったわ……」
私は最初の難関? である扉の前で固まっていた。何故なら扉はピッタリと閉ざされているからだ。几帳面なクロードが部屋に入ったときに閉めてしまったのだろう。
「どうしよう……どうやって扉を開ければいいのよ……」
ノブは私の遥か頭上に取り付けてある。とてもでは無いが届きそうにない。
「誰か通りかからないかしら……そしたら大きな声で鳴いて……」
そこまで言いかけて私は首を振った。
「いいえ、駄目よ! そんな誰か通りかかるのを待っている間にもクロードは……!」
こうなったら私が自力で扉を開けるしか無い。助走をつけてノブを掴むことが出来れば……!
「よし! 行くわよ!」
私は後ろに下がると、扉に向かって猛ダッシュして大ジャンプした。
「ニャアアアアーンッ!!」
**
「フギャン!!」
ビッターン!!
派手な音を立てて、12回目のジャンプに失敗した私はまたしてもしこたま身体をぶつけて、思わず床にうずくまってしまった。
「うううう……。い、痛いわ……。で、でもこうしている間にもクロードが……!」
自分の身体はどうなってもいい。恩人のクロードを助けることだけしか今の私は考えていなかった。
「もう一度行くわよ……! それーっ!」
助走をつけて大ジャンプ!
すると……。
ガシッ!
13回目の大ジャンプで私はノブをキャッチすることに成功した。
「や、やったわ!」
掴まった反動で、ノブがグルリと回る。
「キャアッ! す、滑る!」
でも、死んでもこのノブを離してなるものか。自分の体を扉に向けてぶつけると、反動でゆっくり開いていく。
「ひ、開いた!」
そのまま床に飛び降りると、ズキズキ痛む身体を我慢して私は誰か人を呼ぶ為に廊下を走った。
「誰か! クロードがっ!」
けれど、こんな時に限って廊下には人の気配がいない。ここに住む王族はクロードしかいない。だから使用人の数も最低限しか配置されていないのだ。
「誰かーっ! クロードを助けてあげてよーっ!」
私はニャンニャン鳴きながら廊下を駆け回った。
その時――
目の前の角の廊下からアビーの自称恋人? であるジャックが現れた。
「あれ? 確かお前は……ミルクだっけ? どうしたんだ?」
「ニャニャン! ニャニャニャニャン!」
(ジャック! クロードを助けてよ!)
私は必死でジャックに訴えた。
「どうしたんだ? 何だか随分興奮しているみたいだけど……ってうわっ! な、何だよ! その身体……傷だらけじゃないか!」
ジャックは私を見て驚いている。余程怪我の状況が悪いのだろう。
けれど……。
「ニャニャニャン!! ニャーンニャン!」
(いいから!! ついてきてよ!)
私はジャックのズボンの裾を噛むと、思い切り引っ張った。
「うわ! な、何だよ! もしかして何処かへ連れていきたいのか?」
おおっ! ナイス! ジャックに私の気持ちが伝わった。
「ニャン!」
(そうよ!)
頷くと、私はクルリと背を向けて再び元来た廊下を駆け出した。そして慌てた様子でついてくるジャック。
クロード! 今助けに行くから待っていてね――!
私は最初の難関? である扉の前で固まっていた。何故なら扉はピッタリと閉ざされているからだ。几帳面なクロードが部屋に入ったときに閉めてしまったのだろう。
「どうしよう……どうやって扉を開ければいいのよ……」
ノブは私の遥か頭上に取り付けてある。とてもでは無いが届きそうにない。
「誰か通りかからないかしら……そしたら大きな声で鳴いて……」
そこまで言いかけて私は首を振った。
「いいえ、駄目よ! そんな誰か通りかかるのを待っている間にもクロードは……!」
こうなったら私が自力で扉を開けるしか無い。助走をつけてノブを掴むことが出来れば……!
「よし! 行くわよ!」
私は後ろに下がると、扉に向かって猛ダッシュして大ジャンプした。
「ニャアアアアーンッ!!」
**
「フギャン!!」
ビッターン!!
派手な音を立てて、12回目のジャンプに失敗した私はまたしてもしこたま身体をぶつけて、思わず床にうずくまってしまった。
「うううう……。い、痛いわ……。で、でもこうしている間にもクロードが……!」
自分の身体はどうなってもいい。恩人のクロードを助けることだけしか今の私は考えていなかった。
「もう一度行くわよ……! それーっ!」
助走をつけて大ジャンプ!
すると……。
ガシッ!
13回目の大ジャンプで私はノブをキャッチすることに成功した。
「や、やったわ!」
掴まった反動で、ノブがグルリと回る。
「キャアッ! す、滑る!」
でも、死んでもこのノブを離してなるものか。自分の体を扉に向けてぶつけると、反動でゆっくり開いていく。
「ひ、開いた!」
そのまま床に飛び降りると、ズキズキ痛む身体を我慢して私は誰か人を呼ぶ為に廊下を走った。
「誰か! クロードがっ!」
けれど、こんな時に限って廊下には人の気配がいない。ここに住む王族はクロードしかいない。だから使用人の数も最低限しか配置されていないのだ。
「誰かーっ! クロードを助けてあげてよーっ!」
私はニャンニャン鳴きながら廊下を駆け回った。
その時――
目の前の角の廊下からアビーの自称恋人? であるジャックが現れた。
「あれ? 確かお前は……ミルクだっけ? どうしたんだ?」
「ニャニャン! ニャニャニャニャン!」
(ジャック! クロードを助けてよ!)
私は必死でジャックに訴えた。
「どうしたんだ? 何だか随分興奮しているみたいだけど……ってうわっ! な、何だよ! その身体……傷だらけじゃないか!」
ジャックは私を見て驚いている。余程怪我の状況が悪いのだろう。
けれど……。
「ニャニャニャン!! ニャーンニャン!」
(いいから!! ついてきてよ!)
私はジャックのズボンの裾を噛むと、思い切り引っ張った。
「うわ! な、何だよ! もしかして何処かへ連れていきたいのか?」
おおっ! ナイス! ジャックに私の気持ちが伝わった。
「ニャン!」
(そうよ!)
頷くと、私はクルリと背を向けて再び元来た廊下を駆け出した。そして慌てた様子でついてくるジャック。
クロード! 今助けに行くから待っていてね――!