私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
4-6 初めての来訪客
私が巨大な犬、ホワイトになってからというもの……クロードの生活は大きく変わった。
午前10時――
今日も空は快晴、絶好の散歩日和だ。
「ワンワン! ワワワン!」
(クロード! 散歩に行きましょうよ!)
私は絵を描いているクロードのそばでワンワン吠えた。
「え? また散歩に行くのかい? ホワイト。昨日も散歩に行ったばかりじゃないか?」
クロードは絵を描く手を止めずに返事をする。
「ワンワンワンワンワンワン!」
(何言ってるの。毎日散歩に行くのは基本でしょう?)
尻尾をちぎれんばかりブンブン振ってクロードに訴える私。一応断っておくが、これは決して私が散歩に行きたいというわけではない。クロードの為を思って散歩に誘っているのである。
「ワン! ワンワンワン!」
(ほら! 行くわよ!)
いくら私が訴えても少しも散歩に行こうとしない。ついに思い余った私はクロードの服の裾を咥えて引っ張った。
「うわぁ!わ、分かったよ。行く、行くってば!」
ついに私の少々強引な誘いに観念したのか、クロードは筆を置いた。
「それじゃ、散歩に行こうか? 今日はどこへ行こうか?」
クロードは上着を羽織ると私に尋ねてきた。
「ワンワンワンワン!」
(お城の近くの湖がいいわ!)
最もこの言葉がクロードに通じるわけがない。いつも私が彼の前に立って案内するのだから。
「ハハハ。やっぱりホワイトには敵わないな」
クロードは私の頭を撫でながら笑った。
「ワンワン! ワンワンワンワン!」
(クロード! 早く行きましょう!)
そして一緒に部屋を出ようと扉を開けた時、ジャックが目の前に立っていた。
「あ! クロード様! もしかしてお出かけされるのですか?」
「うん、そうだよ。何か用かな?」
「え、ええ。実は……コーネリア様がいらっしゃいまして、応接間でお待ちになっておられます」
ジャックの言葉にピクリと反応する私。え? コーネリア? 一体誰なのだろう? 名前の雰囲気では女の人のようにも思えるけども。
「え? コーネリアが……? そうか、分かったよ。それじゃ応接間に行こう」
クロードは何故かあまり乗り気に見えない。けれど……つまりそれって、散歩には行けないってこと?
「クゥゥゥ〜ン……」
(そんなぁ……)
私はクロードが一緒でなければ自由に外に出ることが出来ないのに? ついつい、情けない声が出てしまう。すると、クロードが私に視線を移した。
「ごめん、ホワイト。今日は散歩に行けなくなってしまったよ。コーネリアが来たから、会いに行ってくるよ」
「ワンワンワンワンワンワワワン」
(分かったわ。仕方ないものね)
「では参りましょう、クロード様」
ジャックに促され、クロードが部屋を出ていく。そして私も当然のように後に続いた。
今日のところは散歩は諦めるけれども……こうなったからには「コーネリア」様と呼ばれる人物に会いに行かなければ!
この城でお世話になってからは客人なんて誰一人訪ねてきたことは無かった。
それがクロードを訪ねてきた初めての来訪客なのだから――!
午前10時――
今日も空は快晴、絶好の散歩日和だ。
「ワンワン! ワワワン!」
(クロード! 散歩に行きましょうよ!)
私は絵を描いているクロードのそばでワンワン吠えた。
「え? また散歩に行くのかい? ホワイト。昨日も散歩に行ったばかりじゃないか?」
クロードは絵を描く手を止めずに返事をする。
「ワンワンワンワンワンワン!」
(何言ってるの。毎日散歩に行くのは基本でしょう?)
尻尾をちぎれんばかりブンブン振ってクロードに訴える私。一応断っておくが、これは決して私が散歩に行きたいというわけではない。クロードの為を思って散歩に誘っているのである。
「ワン! ワンワンワン!」
(ほら! 行くわよ!)
いくら私が訴えても少しも散歩に行こうとしない。ついに思い余った私はクロードの服の裾を咥えて引っ張った。
「うわぁ!わ、分かったよ。行く、行くってば!」
ついに私の少々強引な誘いに観念したのか、クロードは筆を置いた。
「それじゃ、散歩に行こうか? 今日はどこへ行こうか?」
クロードは上着を羽織ると私に尋ねてきた。
「ワンワンワンワン!」
(お城の近くの湖がいいわ!)
最もこの言葉がクロードに通じるわけがない。いつも私が彼の前に立って案内するのだから。
「ハハハ。やっぱりホワイトには敵わないな」
クロードは私の頭を撫でながら笑った。
「ワンワン! ワンワンワンワン!」
(クロード! 早く行きましょう!)
そして一緒に部屋を出ようと扉を開けた時、ジャックが目の前に立っていた。
「あ! クロード様! もしかしてお出かけされるのですか?」
「うん、そうだよ。何か用かな?」
「え、ええ。実は……コーネリア様がいらっしゃいまして、応接間でお待ちになっておられます」
ジャックの言葉にピクリと反応する私。え? コーネリア? 一体誰なのだろう? 名前の雰囲気では女の人のようにも思えるけども。
「え? コーネリアが……? そうか、分かったよ。それじゃ応接間に行こう」
クロードは何故かあまり乗り気に見えない。けれど……つまりそれって、散歩には行けないってこと?
「クゥゥゥ〜ン……」
(そんなぁ……)
私はクロードが一緒でなければ自由に外に出ることが出来ないのに? ついつい、情けない声が出てしまう。すると、クロードが私に視線を移した。
「ごめん、ホワイト。今日は散歩に行けなくなってしまったよ。コーネリアが来たから、会いに行ってくるよ」
「ワンワンワンワンワンワワワン」
(分かったわ。仕方ないものね)
「では参りましょう、クロード様」
ジャックに促され、クロードが部屋を出ていく。そして私も当然のように後に続いた。
今日のところは散歩は諦めるけれども……こうなったからには「コーネリア」様と呼ばれる人物に会いに行かなければ!
この城でお世話になってからは客人なんて誰一人訪ねてきたことは無かった。
それがクロードを訪ねてきた初めての来訪客なのだから――!