私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
4-10 これが私!?
「え? な、何これ!?」
私は自分の身体に変化が起こり始めたことに気付いた。真っ白でフワフワの前足がゆっくりと人の手に変わっていく。そして風に煽られて、長い髪の毛が顔にまとわりつく気配に気付いた。
え? 髪の毛?
「へ〜……これは驚いたな……」
魔法使いが私を見つめて呟いた。
「え? 驚いたって……ええっ!?」
気付けば私の身体は人間の姿になっている……のだと思う。何故なら洋服を着ているからだ。それに魔法使いが(多分)驚いた様子で口を開けて私を凝視しているからだ。
「まさか、サファイアがここまで美人だとは思わなかったよ。なるほど、あの王子はこれ程までに美貌の君を捨てて、あの女性を選んだというわけか。馬鹿だなぁ。あの王子は。僕だったら絶対君を選ぶのに」
それって、もしかして……!
「ね、ねぇ!! もしかして私って今人間の姿をしているの!?」
気付けば魔法使いの襟首を掴んでいた。
「うん、そうだよ。今の君は完全に人の姿をしているサファイアだよ」
「え! それじゃ、私ついに呪いが解けたのね!」
犬の姿になってからは、まだ感謝されるようなことをした覚えは無いけれども……知らず知らず私は感謝をされていたのかもしれない。
けれど、その考えは魔法使いによって見事に打ち消される。
「いや、それは違うよ。君に掛けられた呪いはまだ解けていないよ。ただ、一時的に偉大なる僕の魔法によって呪いを解除しているんだ。夜が一番僕の魔力が強くなる時間だからね。逆に昼間は成約がかかっていて、魔力が弱まってしまうんだけどね」
「へ〜そうなんだ。言われてみれば、貴方、大抵夜に現れることが多かったわね……ってそうじゃなくって! ねぇ! 私の姿ってどんな姿なの! 鏡は無いの!? 見てみたいんだけど!」
魔法使いの襟首を掴む私。
「あ、そうか……君は自分の本来の姿を見たことがないんだっけ?」
「ええ、そうよ。私はこのサファイアの身体に憑依してしまったんだって」
「いいよ、見せてあげる」
魔法使いがパチンと指をならすと、眼前に姿見が現れた。
「キャア!」
目の前に突如として姿見が現れて驚き……更に、鏡に映る自分の姿に驚く私。
そこには大きな月明かりに照らされたサファイアが映し出されている。
波打つ金色の長い髪の毛に青い瞳……目を見張るほどに美しい女性が映っている。
「う、嘘……これが私なの……?」
思わず顔を両手でペタペタ触ってみると、鏡の中のわたしもまるきり同じ動きをする。
「ま、間違いない……確かに鏡に映るのはサファイアだわ……」
そう言えば、小説の中でもサファイアはとても美しい女性として描かれていた。ただ、性格がどうしようもないほどに性悪だと書かれていたけれども……果たして本当にそうだったのだろうか?」
「どうだい? サファイア。初めて自分の本当の姿を見た感想は」
鏡を見つめている私に魔法使いが話しかけてきた。
「……びっくりだわ。だって……こんなにも綺麗だとは思わなかったから……」
「そうだね。僕も人の姿の君を初めて見るけど……本当に綺麗だよ、サファイア」
そして魔法使いは口元に笑みを浮かべた――
私は自分の身体に変化が起こり始めたことに気付いた。真っ白でフワフワの前足がゆっくりと人の手に変わっていく。そして風に煽られて、長い髪の毛が顔にまとわりつく気配に気付いた。
え? 髪の毛?
「へ〜……これは驚いたな……」
魔法使いが私を見つめて呟いた。
「え? 驚いたって……ええっ!?」
気付けば私の身体は人間の姿になっている……のだと思う。何故なら洋服を着ているからだ。それに魔法使いが(多分)驚いた様子で口を開けて私を凝視しているからだ。
「まさか、サファイアがここまで美人だとは思わなかったよ。なるほど、あの王子はこれ程までに美貌の君を捨てて、あの女性を選んだというわけか。馬鹿だなぁ。あの王子は。僕だったら絶対君を選ぶのに」
それって、もしかして……!
「ね、ねぇ!! もしかして私って今人間の姿をしているの!?」
気付けば魔法使いの襟首を掴んでいた。
「うん、そうだよ。今の君は完全に人の姿をしているサファイアだよ」
「え! それじゃ、私ついに呪いが解けたのね!」
犬の姿になってからは、まだ感謝されるようなことをした覚えは無いけれども……知らず知らず私は感謝をされていたのかもしれない。
けれど、その考えは魔法使いによって見事に打ち消される。
「いや、それは違うよ。君に掛けられた呪いはまだ解けていないよ。ただ、一時的に偉大なる僕の魔法によって呪いを解除しているんだ。夜が一番僕の魔力が強くなる時間だからね。逆に昼間は成約がかかっていて、魔力が弱まってしまうんだけどね」
「へ〜そうなんだ。言われてみれば、貴方、大抵夜に現れることが多かったわね……ってそうじゃなくって! ねぇ! 私の姿ってどんな姿なの! 鏡は無いの!? 見てみたいんだけど!」
魔法使いの襟首を掴む私。
「あ、そうか……君は自分の本来の姿を見たことがないんだっけ?」
「ええ、そうよ。私はこのサファイアの身体に憑依してしまったんだって」
「いいよ、見せてあげる」
魔法使いがパチンと指をならすと、眼前に姿見が現れた。
「キャア!」
目の前に突如として姿見が現れて驚き……更に、鏡に映る自分の姿に驚く私。
そこには大きな月明かりに照らされたサファイアが映し出されている。
波打つ金色の長い髪の毛に青い瞳……目を見張るほどに美しい女性が映っている。
「う、嘘……これが私なの……?」
思わず顔を両手でペタペタ触ってみると、鏡の中のわたしもまるきり同じ動きをする。
「ま、間違いない……確かに鏡に映るのはサファイアだわ……」
そう言えば、小説の中でもサファイアはとても美しい女性として描かれていた。ただ、性格がどうしようもないほどに性悪だと書かれていたけれども……果たして本当にそうだったのだろうか?」
「どうだい? サファイア。初めて自分の本当の姿を見た感想は」
鏡を見つめている私に魔法使いが話しかけてきた。
「……びっくりだわ。だって……こんなにも綺麗だとは思わなかったから……」
「そうだね。僕も人の姿の君を初めて見るけど……本当に綺麗だよ、サファイア」
そして魔法使いは口元に笑みを浮かべた――