私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
4-13 帰ってこない二人
コーネリアが城に滞在し始めてから五日が経過していた。
「あ〜あ……今日もクロードには会えないのね……」
厨房で用意してもらったお昼ごはんを食べ終えた私は、城の庭をトボトボと散歩していた。ちなみにあれから一度もクロードには会えていない。
何故か知らないが、コーネリアが私がクロードの側にいるのを嫌がる為に夜も同じ部屋で寝ることを許さないらしい。
そこで現在私は城の空き部屋をあてがわれて、そこで眠りについていた。
「ふぅ……あの夜以来、魔法使いも会いに来てくれないし……って何言ってるのよ、私ったら! 別に魔法使いに会わなくたってぜーんぜん平気なんだから! この城で自由気ままなペット生活を過ごしているんだから、不満なんか……」
段々自分の声がしょぼくれてくる。
どうもペットとして飼われてしまうと、人から感謝される機会がぐっと減ってしまう気がする。
「折角呪いの力が薄まってきているっていうのに……中々人から感謝されるような事案に遭遇しないわね……」
やはり、私の呪いを解いてくれるキーパーソンはクロードだけなのだろうか? けれど、肝心のクロードと顔すら合わせていないのだ。
「でも、後二日もすれば……クロードに会えるんだもの。もう少しの辛抱よね」
中庭にあるお気に入りのベンチにやってくるとヒラリと飛び乗った。
「ふわああ〜……それにしてもいい天気ね。絶好のお昼寝日和だわ……」
そして私はベンチに寝そべると、目を閉じた――
**
どのくらい眠っていただろう。何やら城が騒がしいことに気付き、目を開けた。
「う〜ん……よく寝た〜」
大きな欠伸をして空を見上げると、いつの間にか茜色に染まっている。
「あら、もう夕方なのね。随分長い間眠ってしまったみたいだわ。それにしても……」
私は城を振り返った。
何やら使用人の人たちが、城を出入りしては話をしている。それに何だか慌ただしい。
「何だか様子が変ね……? 何かあったのかしら?」
そこで私は情報収集の為に、ムクリと起き上がるとベンチから飛び降りて城に向かった。
「やはりまだ戻られていないのか? クロード様とコーネリア様は」
「そうなのよ。ピクニックに行くと出かけられて午後の三時までには戻ってくるはずだったのに……」
「大丈夫かしら……。もうすぐ日が暮れるわ。この辺りは夜風が冷えるのにクロード様とコーネリア様が心配ね……」
「やはり何人か付き添えば良かったな。せめて行き先だけでも聞いておけば良かった。まさか城門を超えてしまっていたなんて……」
何ですって!?
その言葉に尻尾がピンとなった。
クロードとコーネリアがまだ戻っていないですって!? 城門を抜けると周囲は深い森に囲まれている。
この周辺にある山には狼が住んでいるし、山から降りてくる可能性だってあるかもしれないのに!?
「ワンワンワンワン!」
(私が探してくるわ!)
「わっ! ホワイト! いきなりどうしたんだ?」
フットマンの一人が私の吠声に驚いて振り向いた。
「ワンワンワンワンワワワワン!」
(私がクロードの匂いをたどるわ!)
そして、私は地面に鼻を擦り付けるとクロードの匂いを探った。すると、使用人たちの話していた通り匂いは城門へ続いている。
「ワンワンワン!」
(あっちね!)
私は一気に城門へ向かって駆け出した――!
「あ〜あ……今日もクロードには会えないのね……」
厨房で用意してもらったお昼ごはんを食べ終えた私は、城の庭をトボトボと散歩していた。ちなみにあれから一度もクロードには会えていない。
何故か知らないが、コーネリアが私がクロードの側にいるのを嫌がる為に夜も同じ部屋で寝ることを許さないらしい。
そこで現在私は城の空き部屋をあてがわれて、そこで眠りについていた。
「ふぅ……あの夜以来、魔法使いも会いに来てくれないし……って何言ってるのよ、私ったら! 別に魔法使いに会わなくたってぜーんぜん平気なんだから! この城で自由気ままなペット生活を過ごしているんだから、不満なんか……」
段々自分の声がしょぼくれてくる。
どうもペットとして飼われてしまうと、人から感謝される機会がぐっと減ってしまう気がする。
「折角呪いの力が薄まってきているっていうのに……中々人から感謝されるような事案に遭遇しないわね……」
やはり、私の呪いを解いてくれるキーパーソンはクロードだけなのだろうか? けれど、肝心のクロードと顔すら合わせていないのだ。
「でも、後二日もすれば……クロードに会えるんだもの。もう少しの辛抱よね」
中庭にあるお気に入りのベンチにやってくるとヒラリと飛び乗った。
「ふわああ〜……それにしてもいい天気ね。絶好のお昼寝日和だわ……」
そして私はベンチに寝そべると、目を閉じた――
**
どのくらい眠っていただろう。何やら城が騒がしいことに気付き、目を開けた。
「う〜ん……よく寝た〜」
大きな欠伸をして空を見上げると、いつの間にか茜色に染まっている。
「あら、もう夕方なのね。随分長い間眠ってしまったみたいだわ。それにしても……」
私は城を振り返った。
何やら使用人の人たちが、城を出入りしては話をしている。それに何だか慌ただしい。
「何だか様子が変ね……? 何かあったのかしら?」
そこで私は情報収集の為に、ムクリと起き上がるとベンチから飛び降りて城に向かった。
「やはりまだ戻られていないのか? クロード様とコーネリア様は」
「そうなのよ。ピクニックに行くと出かけられて午後の三時までには戻ってくるはずだったのに……」
「大丈夫かしら……。もうすぐ日が暮れるわ。この辺りは夜風が冷えるのにクロード様とコーネリア様が心配ね……」
「やはり何人か付き添えば良かったな。せめて行き先だけでも聞いておけば良かった。まさか城門を超えてしまっていたなんて……」
何ですって!?
その言葉に尻尾がピンとなった。
クロードとコーネリアがまだ戻っていないですって!? 城門を抜けると周囲は深い森に囲まれている。
この周辺にある山には狼が住んでいるし、山から降りてくる可能性だってあるかもしれないのに!?
「ワンワンワンワン!」
(私が探してくるわ!)
「わっ! ホワイト! いきなりどうしたんだ?」
フットマンの一人が私の吠声に驚いて振り向いた。
「ワンワンワンワンワワワワン!」
(私がクロードの匂いをたどるわ!)
そして、私は地面に鼻を擦り付けるとクロードの匂いを探った。すると、使用人たちの話していた通り匂いは城門へ続いている。
「ワンワンワン!」
(あっちね!)
私は一気に城門へ向かって駆け出した――!