私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
5-2 魔法使いの秘密
「一体、何があったの? それにここは何処なの?」
私は訳が分からず、二人に尋ねた。空を見上げれば、満点の星空に綺麗な満月が浮かんでいる。そして何処までも続く緑の草原。
それは……とても美しい光景だった。先程の鬱蒼とした森の中の景色とは大違いだった。
「ここはね、私の新しい住処よ。それにしても驚いたわ。あのアベルが貴女を抱きかかえて私のところに飛んできたんだから」
エメラルドさんの言葉に私は驚いて魔法使いを見た。
「え? 何故魔法使いが?」
「それは、サファイア。君の心臓が一度止まってしまったからだよ……」
そして魔法使いはあの後何があったのかを話し始めた。
魔法使いの話によると、私の呪いを掛けるときに使用した魔石があるそうだ。その魔石が突然割れたので、様子を見に飛んできたところ……血まみれになって死にかけていた私を発見した。
私を取り囲んでいたクロード達は突然現れ魔法使いに当然驚き、騒ぎになった。
あげくの果てに何故か、狼たちをけしかけたのはお前では無いかと責め立て始めた。
そこで魔法使いは私を連れて転移魔法で場所を変え、魔法で私の傷を直したものの……既に私の心臓は止まっていた。
慌てた魔法使いは助けを求めるべく、自分が苦手とするエメラルドさんに助けを求めにやってきたというわけだ。
「それじゃ、エメラルドさんが私を生き返らせてくれたのですか?」
「う〜ん……それはどうかしら? 私とアベルの二人で貴女を助けたと言った方がいいかもしれないわね」
そしてエメラルドさんは魔法使いをチラリと見た。
「え?どういうことですか?」
「つまり僕の魔法とエメラルドのドラゴンの力を借りて、サファイアを生き返らせたんだよ。大昔は蘇生魔法位、簡単に使う事が出来たんだけどね。今の僕では力が足りなくて無理だったんだ」
「そうなの? だって貴方は偉大な魔法使いだったんじゃなかったかしら?」
すると、私の言葉に魔法使いは寂しげな笑みを浮かべた。
「サファイア。今まで黙っていたけど……実はこの身体は僕の本当の身体じゃないんだ。魔法で作り出した僕の身体を模した人形なんだよ。本物の僕は……王宮の地下に今も封印されている」
「え……?」
あまりにも突然の話に頭がついていけなかった。
「僕は大昔、王宮専属魔術師だったんだ。稀に見無い程魔力に溢れていた僕の魔力を欲しがった当時の国王が他の魔術師たちに命じて、封印させたんだよ。魔法を永遠に使わせる為にね。封印に手を貸した彼らは全員僕の仲間達だったのに……裏切られてしまった」
「そ、そんな……」
「それ以来、僕は年を取ることも無く永遠に生き続けることになってしまったんだ。地下に封印された僕は何とかここを抜け出そうと色々試したんだけど、どうにもうまくいかなくてね。どうしても封印を解くことが出来なかったんだ。今の僕はまるで籠の中の鳥のような状況だよ」
魔法使いは一度そこで言葉を切ると、再び続けた。
「自由に外に出ることも出来ない。そこで魔力でこの身体を作り上げたんだよ。この身体に自分の精神を移して行動しているんだ。本物の身体は今も城の地下深くに封印されている。だけど、僕は何としてでも自分に掛けられた封印を解いて自由の身になりたい。だから……」
そこで、魔法使いはチラリとエメラルドさんを見た。
「それで貴方はもっと強力な魔力を手に入れる為に、私の逆鱗を奪ったのでしょう? だけど、結局は封印を解くことが出来なかったのよね?」
「ごめん、エメラルド。僕は君を頼れる立場では無いのに……サファイアを助ける為に力を貸してくれてありがとう」
魔法使いはエメラルドさんに頭を下げた――
私は訳が分からず、二人に尋ねた。空を見上げれば、満点の星空に綺麗な満月が浮かんでいる。そして何処までも続く緑の草原。
それは……とても美しい光景だった。先程の鬱蒼とした森の中の景色とは大違いだった。
「ここはね、私の新しい住処よ。それにしても驚いたわ。あのアベルが貴女を抱きかかえて私のところに飛んできたんだから」
エメラルドさんの言葉に私は驚いて魔法使いを見た。
「え? 何故魔法使いが?」
「それは、サファイア。君の心臓が一度止まってしまったからだよ……」
そして魔法使いはあの後何があったのかを話し始めた。
魔法使いの話によると、私の呪いを掛けるときに使用した魔石があるそうだ。その魔石が突然割れたので、様子を見に飛んできたところ……血まみれになって死にかけていた私を発見した。
私を取り囲んでいたクロード達は突然現れ魔法使いに当然驚き、騒ぎになった。
あげくの果てに何故か、狼たちをけしかけたのはお前では無いかと責め立て始めた。
そこで魔法使いは私を連れて転移魔法で場所を変え、魔法で私の傷を直したものの……既に私の心臓は止まっていた。
慌てた魔法使いは助けを求めるべく、自分が苦手とするエメラルドさんに助けを求めにやってきたというわけだ。
「それじゃ、エメラルドさんが私を生き返らせてくれたのですか?」
「う〜ん……それはどうかしら? 私とアベルの二人で貴女を助けたと言った方がいいかもしれないわね」
そしてエメラルドさんは魔法使いをチラリと見た。
「え?どういうことですか?」
「つまり僕の魔法とエメラルドのドラゴンの力を借りて、サファイアを生き返らせたんだよ。大昔は蘇生魔法位、簡単に使う事が出来たんだけどね。今の僕では力が足りなくて無理だったんだ」
「そうなの? だって貴方は偉大な魔法使いだったんじゃなかったかしら?」
すると、私の言葉に魔法使いは寂しげな笑みを浮かべた。
「サファイア。今まで黙っていたけど……実はこの身体は僕の本当の身体じゃないんだ。魔法で作り出した僕の身体を模した人形なんだよ。本物の僕は……王宮の地下に今も封印されている」
「え……?」
あまりにも突然の話に頭がついていけなかった。
「僕は大昔、王宮専属魔術師だったんだ。稀に見無い程魔力に溢れていた僕の魔力を欲しがった当時の国王が他の魔術師たちに命じて、封印させたんだよ。魔法を永遠に使わせる為にね。封印に手を貸した彼らは全員僕の仲間達だったのに……裏切られてしまった」
「そ、そんな……」
「それ以来、僕は年を取ることも無く永遠に生き続けることになってしまったんだ。地下に封印された僕は何とかここを抜け出そうと色々試したんだけど、どうにもうまくいかなくてね。どうしても封印を解くことが出来なかったんだ。今の僕はまるで籠の中の鳥のような状況だよ」
魔法使いは一度そこで言葉を切ると、再び続けた。
「自由に外に出ることも出来ない。そこで魔力でこの身体を作り上げたんだよ。この身体に自分の精神を移して行動しているんだ。本物の身体は今も城の地下深くに封印されている。だけど、僕は何としてでも自分に掛けられた封印を解いて自由の身になりたい。だから……」
そこで、魔法使いはチラリとエメラルドさんを見た。
「それで貴方はもっと強力な魔力を手に入れる為に、私の逆鱗を奪ったのでしょう? だけど、結局は封印を解くことが出来なかったのよね?」
「ごめん、エメラルド。僕は君を頼れる立場では無いのに……サファイアを助ける為に力を貸してくれてありがとう」
魔法使いはエメラルドさんに頭を下げた――