私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
5-4 誰ですか?
「……ファイア……サファイア‥‥…」
誰かが悲し気な声で必死に呼びかけている。サファイア……? そうだった。確か今の私の身体はサファイアなんだ……。
でもこの声は誰だろう?
いつもの魔法使いの声じゃない…‥‥。え? 魔法使い? そこで私の意識は覚醒した。
「魔法使い!」
ガバッと起き上がると、私を驚いた様に見つめる人々がいた。メイド服を着た女性たちに……若い頃はさぞかしモテまくったと思われる金色の髪に青い瞳のロマンスグレーの男性。
「え~と……」
この男性は誰だろう? う~ん。でも……誰かに似ている気がする。その金色の髪に青い瞳……もしかして……?
「サファイア……目が覚めたのだね!? 良かった!」
男性は言うなり、私を強く抱き締めて来た!
ギャ~!! な、何!?
「良かった…‥! お前が一人だけ城に呼ばれて、突然行方不明になったと聞かされた時はどれほど心配したことか……!」
「え? え? それって……!」
そうだ、きっとこの人はサファイアのお父さんなんだ。だってこの声……聞き覚えがあるから。
「サファイア、お前がいなくなって三か月半、どれだけ行方を捜したことか……!」
サファイアのお父さんはますます強く抱き締めて来る。私は胸に顔を押し付けられながら思った。
うん、やはりイケメンは匂いも違う。うちの父はそろそろ加齢臭がきつくなってきたところなのに、サファイアのお父さんは……そう、しいて言うならウッディな香り…‥といえばいいだろうか?
「どうした? サファイア。さっきから何故黙っているのだい? 何か話してはくれないのか?」
私が先程から無言だからだろうか? サファイアのお父さんが肩に手を置いて尋ねて来た。
キャ~! 顔面破壊力、半端ないよ。いや、それよりも……サファイアは父親のことを何と呼んでいたのだろう?
「あ、あの‥…おとう……様……?」
恐る恐る呼んでみると、目を見開いて私を見る父親。しまった! 呼び方を間違えてしまっただろうか?
しかし……。
「そうだ、サファイア! ようやく父のことを呼んでくれたのだな⁉」
そして再び強く抱き締められる。その力の強いこと、強いこと。
「く、苦し……」
思わず呻くと、側にいたおばあちゃんに近い年代の女性が声をかけて来た。
「侯爵様! 落ち着いて下さい! サファイア様が苦しがっておりますから!」
「あ、そ、そうだった…‥つい、嬉しすぎて……。すまなかった、サファイア。大丈夫だったかい?」
父親は私から離れると謝ってきた。
「は、はい……大丈夫です……。あの、ところで何故私はここにいるのでしょう?」
何しろ、魔法使いと一緒にいたところまでの記憶しか無いのだ。夜、この屋敷の前に2人で立ち……いつものように指をパチンとならされたときに意識を失ってしまった。
「何だって? それでは覚えていないということなのか?」
「はい、そうです」
覚えていないどころか、サファイアとしての記憶も一切無い。
「そうだったのか……。サファイア、お前は屋敷の扉の前で倒れいていたのだよ」
サファイアの父親は昨夜のことをポツリポツリと語り出した――
誰かが悲し気な声で必死に呼びかけている。サファイア……? そうだった。確か今の私の身体はサファイアなんだ……。
でもこの声は誰だろう?
いつもの魔法使いの声じゃない…‥‥。え? 魔法使い? そこで私の意識は覚醒した。
「魔法使い!」
ガバッと起き上がると、私を驚いた様に見つめる人々がいた。メイド服を着た女性たちに……若い頃はさぞかしモテまくったと思われる金色の髪に青い瞳のロマンスグレーの男性。
「え~と……」
この男性は誰だろう? う~ん。でも……誰かに似ている気がする。その金色の髪に青い瞳……もしかして……?
「サファイア……目が覚めたのだね!? 良かった!」
男性は言うなり、私を強く抱き締めて来た!
ギャ~!! な、何!?
「良かった…‥! お前が一人だけ城に呼ばれて、突然行方不明になったと聞かされた時はどれほど心配したことか……!」
「え? え? それって……!」
そうだ、きっとこの人はサファイアのお父さんなんだ。だってこの声……聞き覚えがあるから。
「サファイア、お前がいなくなって三か月半、どれだけ行方を捜したことか……!」
サファイアのお父さんはますます強く抱き締めて来る。私は胸に顔を押し付けられながら思った。
うん、やはりイケメンは匂いも違う。うちの父はそろそろ加齢臭がきつくなってきたところなのに、サファイアのお父さんは……そう、しいて言うならウッディな香り…‥といえばいいだろうか?
「どうした? サファイア。さっきから何故黙っているのだい? 何か話してはくれないのか?」
私が先程から無言だからだろうか? サファイアのお父さんが肩に手を置いて尋ねて来た。
キャ~! 顔面破壊力、半端ないよ。いや、それよりも……サファイアは父親のことを何と呼んでいたのだろう?
「あ、あの‥…おとう……様……?」
恐る恐る呼んでみると、目を見開いて私を見る父親。しまった! 呼び方を間違えてしまっただろうか?
しかし……。
「そうだ、サファイア! ようやく父のことを呼んでくれたのだな⁉」
そして再び強く抱き締められる。その力の強いこと、強いこと。
「く、苦し……」
思わず呻くと、側にいたおばあちゃんに近い年代の女性が声をかけて来た。
「侯爵様! 落ち着いて下さい! サファイア様が苦しがっておりますから!」
「あ、そ、そうだった…‥つい、嬉しすぎて……。すまなかった、サファイア。大丈夫だったかい?」
父親は私から離れると謝ってきた。
「は、はい……大丈夫です……。あの、ところで何故私はここにいるのでしょう?」
何しろ、魔法使いと一緒にいたところまでの記憶しか無いのだ。夜、この屋敷の前に2人で立ち……いつものように指をパチンとならされたときに意識を失ってしまった。
「何だって? それでは覚えていないということなのか?」
「はい、そうです」
覚えていないどころか、サファイアとしての記憶も一切無い。
「そうだったのか……。サファイア、お前は屋敷の扉の前で倒れいていたのだよ」
サファイアの父親は昨夜のことをポツリポツリと語り出した――