私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
5-5 豹変する父
「サファイア、お前は昨夜屋敷の扉の前で倒れていたのだよ」
「え? そうだったのですか? でも何故私が倒れていることが分かったのですか?」
「それは、外で大きな爆発音のような音が聞こえたからなのだ。いや、本当にあの音には驚いたな。心臓が止まるかと思った」
何!? 爆発音ですって!?
「ば、爆発音ですか……?」
「そうだよ。それで慌てて外へ出て見れば……サファイア。お前が扉の前で倒れていたというわけだよ」
「そうだったのですか……」
おのれ、魔法使いめ。どうせならもっと穏やかな方法で家族に知らせてくれれば良いものを……。
「それで、慌てて皆でお前をこの部屋に運び込んだというわけだよ。ところで気分はどうだい? それにしてもサファイア、この三ヶ月半もの間一体何処で何をしていたのだね?」
「え? あ、は、はい……。悪くはないですが……ただ……」
「ただ? 何だい?」
サファイアの父親が尋ねてくる。
「実は……私記憶喪失になってしまったみたいです……。自分の身に何があったか覚えていなくて……」
まさかこの身体に憑依した偽物サファイアで、しかもカエルにされたり、フクロウや猫、犬の姿になっていたなんて……! 口が裂けても言えるはずない!
「そうなのか? でもお前があのギルバート王子に呼び出されてから消息が不明になってしまったのは分かりきっている。それなのに、何度訪ねてもサファイアの行方など知らないと言って何も答えてはくれなかったのだ」
そして悔しそうに唇を噛むサファイアの父。
「そうなのですか……」
私はわざとしおらしいふりをして返事をした。
ええ、ええ。知っていますとも。魔法使いから話は聞いているので、王子がどれだけクズ男なのかということくらい、ちゃんと分かっていますってば。
「だが、何という良いタイミングだ。良く聞くのだ、サファイア。ギルバート王子はお前が失踪してしまったと言う理由で、婚約破棄してまったのだ」
「は? 何処が良いタイミングなのですか?」
サファイアの父親は一体何を言っているのだろう? 興奮のあまりか、言ってることが支離滅裂だ。
「そして最近知った情報なのだが、平民娘は捨てられたらしい。なんと本命は子爵令嬢だったそうだ。まんまとその娘は利用されてしまったのだな。そしてここからが重要な話だ。なんと近いうちにギルバート王子は婚約披露パーティーを開催することが決定したのだよ!」
「はぁ……なるほど……」
ますますヒートアップしてくるサファイアパパ。
「そこでサファイア、お前の出番だ! 我々もその婚約披露パーティーに参戦する!」
「ふ〜ん。そうですか……って……ええっ! さ、参戦って……!?」
「そうだ、我々は当然婚約披露パーティーには呼ばれていない。なので偽の招待状を用意するのだ。既に手はずは整っている。お前は仮面で顔を隠し、私と一緒に会場に堂々と入る。そして婚約発表がされるときに、サファイア! お前の出番なのだ!」
もうこうなってくると父のエキサイティングは止まらない。
「ギルバート王子が子爵令嬢を伴って婚約発表をするタイミングを見計らって、お前が二人の前に姿を見せるのだ! きっと仰天するに違いない!」
今やまるで人が変わったかの様子の父親の様子に怯えながら私は尋ねた。
「あ、あの〜……よくそんな案が浮かびましたね」
すると首を傾げる父親。
「うむ、それが不思議なことなのだが……何故か倒れているお前を発見したときに頭に浮かんだのだよ。自分でもわけが分からないのだが……」
その話を聞き、私はピンときた。
これはきっと魔法使いの仕業に違いない―――と。
「え? そうだったのですか? でも何故私が倒れていることが分かったのですか?」
「それは、外で大きな爆発音のような音が聞こえたからなのだ。いや、本当にあの音には驚いたな。心臓が止まるかと思った」
何!? 爆発音ですって!?
「ば、爆発音ですか……?」
「そうだよ。それで慌てて外へ出て見れば……サファイア。お前が扉の前で倒れていたというわけだよ」
「そうだったのですか……」
おのれ、魔法使いめ。どうせならもっと穏やかな方法で家族に知らせてくれれば良いものを……。
「それで、慌てて皆でお前をこの部屋に運び込んだというわけだよ。ところで気分はどうだい? それにしてもサファイア、この三ヶ月半もの間一体何処で何をしていたのだね?」
「え? あ、は、はい……。悪くはないですが……ただ……」
「ただ? 何だい?」
サファイアの父親が尋ねてくる。
「実は……私記憶喪失になってしまったみたいです……。自分の身に何があったか覚えていなくて……」
まさかこの身体に憑依した偽物サファイアで、しかもカエルにされたり、フクロウや猫、犬の姿になっていたなんて……! 口が裂けても言えるはずない!
「そうなのか? でもお前があのギルバート王子に呼び出されてから消息が不明になってしまったのは分かりきっている。それなのに、何度訪ねてもサファイアの行方など知らないと言って何も答えてはくれなかったのだ」
そして悔しそうに唇を噛むサファイアの父。
「そうなのですか……」
私はわざとしおらしいふりをして返事をした。
ええ、ええ。知っていますとも。魔法使いから話は聞いているので、王子がどれだけクズ男なのかということくらい、ちゃんと分かっていますってば。
「だが、何という良いタイミングだ。良く聞くのだ、サファイア。ギルバート王子はお前が失踪してしまったと言う理由で、婚約破棄してまったのだ」
「は? 何処が良いタイミングなのですか?」
サファイアの父親は一体何を言っているのだろう? 興奮のあまりか、言ってることが支離滅裂だ。
「そして最近知った情報なのだが、平民娘は捨てられたらしい。なんと本命は子爵令嬢だったそうだ。まんまとその娘は利用されてしまったのだな。そしてここからが重要な話だ。なんと近いうちにギルバート王子は婚約披露パーティーを開催することが決定したのだよ!」
「はぁ……なるほど……」
ますますヒートアップしてくるサファイアパパ。
「そこでサファイア、お前の出番だ! 我々もその婚約披露パーティーに参戦する!」
「ふ〜ん。そうですか……って……ええっ! さ、参戦って……!?」
「そうだ、我々は当然婚約披露パーティーには呼ばれていない。なので偽の招待状を用意するのだ。既に手はずは整っている。お前は仮面で顔を隠し、私と一緒に会場に堂々と入る。そして婚約発表がされるときに、サファイア! お前の出番なのだ!」
もうこうなってくると父のエキサイティングは止まらない。
「ギルバート王子が子爵令嬢を伴って婚約発表をするタイミングを見計らって、お前が二人の前に姿を見せるのだ! きっと仰天するに違いない!」
今やまるで人が変わったかの様子の父親の様子に怯えながら私は尋ねた。
「あ、あの〜……よくそんな案が浮かびましたね」
すると首を傾げる父親。
「うむ、それが不思議なことなのだが……何故か倒れているお前を発見したときに頭に浮かんだのだよ。自分でもわけが分からないのだが……」
その話を聞き、私はピンときた。
これはきっと魔法使いの仕業に違いない―――と。