私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
5-6 サファイアとして目覚めた朝は
翌朝――
「うう~ん……」
ベッドの上で大きく伸びをすると、ムクリと起き上がった。すると見慣れない金色の髪が羽毛布団? にパサリと落ちる。
「ふぅ……久々に人の姿になったけれども、何だか落ち着かないわね」
そしてまるで一流ホテルのスイートルームのような部屋をグルリと見渡し、ため息をつく。
それにしても昨夜は大変だった。私の目が無事に覚めたと言う事で何故か入浴をする流れになったのだが、三人のメイドさんが私の入浴を手伝うと言い出したのだ。
誰かに髪や身体を洗ってもらうなんて冗談じゃない! ということで私は自分で出来るので世話など無用! と断固拒否し……押し問答の末、ようやく一人きりのバスタイムを満喫することが出来たのだった。
「ふふふ……それにしても、猫足バスタブの泡風呂なんて……本物のお嬢様になれたみたいで気分良かったわ」
欲を言えば、もっと熱いお湯のお風呂に浸かっていたかった。私はチャキチャキの江戸っ子なので熱いお湯が大好きなのだ。いつもお湯の設定は42℃と決めている。
…‥‥まぁ、健康の為にはあまり熱いお湯に入らないほうが良いのは分かっているけれどもこればかりはやめられない。
「さてっと、そろそろ起きますか」
着慣れない真っ白なフリルたっぷりのネグリジェ姿でベッドから降りると、着替える為にクローゼットへ向かった。
****
「な、な、何。ドレスばかりじゃないの……」
クローゼットの中にずらりと並んでいるのは、まるでお色直しに着るようなカラードレスばかりが並んでいる。
「それは確かに私だって女だから? ウェディングドレスとかには興味があったけれど……」
でも、でも……これは違う、何か違う! 第一、こんなドレス一人で着れるはずない! おまけに肩が出ていたり背中が開いているドレスなんて無理すぎ!
「駄目だわ、こんなドレスでは……何か、何か他に無いのかしら? せめて今着ているネグリジェのような控えめなドレスは……!」
しかし結局私が理想とするような服は一着も無く……やむを得ず、私はネグリジェのまま、メイドさんが来るのを待つことにした――
**
「まぁ! サファイア様、もう起きていらっしゃったのですか!?」
部屋を訪ねて来たメイドさんが私を見て真っ先に掛けて来た言葉がこれだった。
「え? もうって……?」
壁に掛けてある時計は午前8時を過ぎている。この時間が早いって言うの?
「以前までのサファイア様は9時に起床されていらしたのに、このように早いお目覚めとは……」
「その事なのだけど……私は今記憶喪失状態だからなのかもしれないわ。それで早く目が覚めたのね。でもそんなことどうでもいいわ。お願い! もっと地味な……そう、貴女が着ているような服は無いのかしら!?」
「え? キャア!! サファイア様!?」
気付けば私はメイドさんのスカートを握りしめていた――
「うう~ん……」
ベッドの上で大きく伸びをすると、ムクリと起き上がった。すると見慣れない金色の髪が羽毛布団? にパサリと落ちる。
「ふぅ……久々に人の姿になったけれども、何だか落ち着かないわね」
そしてまるで一流ホテルのスイートルームのような部屋をグルリと見渡し、ため息をつく。
それにしても昨夜は大変だった。私の目が無事に覚めたと言う事で何故か入浴をする流れになったのだが、三人のメイドさんが私の入浴を手伝うと言い出したのだ。
誰かに髪や身体を洗ってもらうなんて冗談じゃない! ということで私は自分で出来るので世話など無用! と断固拒否し……押し問答の末、ようやく一人きりのバスタイムを満喫することが出来たのだった。
「ふふふ……それにしても、猫足バスタブの泡風呂なんて……本物のお嬢様になれたみたいで気分良かったわ」
欲を言えば、もっと熱いお湯のお風呂に浸かっていたかった。私はチャキチャキの江戸っ子なので熱いお湯が大好きなのだ。いつもお湯の設定は42℃と決めている。
…‥‥まぁ、健康の為にはあまり熱いお湯に入らないほうが良いのは分かっているけれどもこればかりはやめられない。
「さてっと、そろそろ起きますか」
着慣れない真っ白なフリルたっぷりのネグリジェ姿でベッドから降りると、着替える為にクローゼットへ向かった。
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「な、な、何。ドレスばかりじゃないの……」
クローゼットの中にずらりと並んでいるのは、まるでお色直しに着るようなカラードレスばかりが並んでいる。
「それは確かに私だって女だから? ウェディングドレスとかには興味があったけれど……」
でも、でも……これは違う、何か違う! 第一、こんなドレス一人で着れるはずない! おまけに肩が出ていたり背中が開いているドレスなんて無理すぎ!
「駄目だわ、こんなドレスでは……何か、何か他に無いのかしら? せめて今着ているネグリジェのような控えめなドレスは……!」
しかし結局私が理想とするような服は一着も無く……やむを得ず、私はネグリジェのまま、メイドさんが来るのを待つことにした――
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「まぁ! サファイア様、もう起きていらっしゃったのですか!?」
部屋を訪ねて来たメイドさんが私を見て真っ先に掛けて来た言葉がこれだった。
「え? もうって……?」
壁に掛けてある時計は午前8時を過ぎている。この時間が早いって言うの?
「以前までのサファイア様は9時に起床されていらしたのに、このように早いお目覚めとは……」
「その事なのだけど……私は今記憶喪失状態だからなのかもしれないわ。それで早く目が覚めたのね。でもそんなことどうでもいいわ。お願い! もっと地味な……そう、貴女が着ているような服は無いのかしら!?」
「え? キャア!! サファイア様!?」
気付けば私はメイドさんのスカートを握りしめていた――