私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
5-9 いざ、出陣?
そして時間はあっという間に流れ……
とうとう日付が変わり、婚約披露パーティーに参戦? する時間がついにやってきてしまった。
「ど、どうでしょうか……? お父様……」
メイド達の手によって髪をアップにし、さながらマリー・アントワネットのようなドレス(しかもピンク色)姿で父の前に姿を現した。
今迄一度も着たことの無いドレス姿は嬉しい反面、何だか気恥ずかしい。
「サファイア……その姿……」
執務室で手にしていたペンをボトリと落とした父は目を見開いて立ち上がった。
「素晴らしい! さすがは私の娘だ! サファイア、そのドレス……本当によく似合っている!」
ツカツカと大股で私に近付いて来ると、父はガシイッと私の両肩を掴んできた。
「うむ! これほどまでに美しい姿で現れれば、あのギルバート王子ですらお前を手放したことを死ぬほど後悔するに違いない。もっとも、今さらやり直したいと頼まれても、絶対に認めることはないがな! アーハッハッハッ!!」
サファイア父は嬉しそうに天井を見上げて豪快に笑う。
「あ……ハハハハ……そ、そうですか……」
若干引き気味になりつつ、愛想笑いする私。それにしても知らなかった。こんなにイケメンなのに、これほどまでに豪快な人物だったとは。あのとき、魔法使いに連れられてこの屋敷を訪れた時は、もっと物静かな父親だと思っていたのに。
私の中で、父親へのイメージがガラガラと音を立てて崩れていく。
「よし! それでは偽の招待状も用意出来たことだし……いざ行かん! 王城へ!」
「は、はい……お父様」
もし偽物の招待状だとバレた日には一体私たちはどうなってしまうのだろうと、若干……というか、かなり不安な気持ちを抱きつつ返事をした。
そうだ、これはチャンスなのだ。
城の何処かには魔法使いが囚われているはず……彼には色々思うところがあるけれど、800年間も囚われているのはあまりに不憫だ。
ついでに助けてあげることが出来ないだろうか……?
****
ガラガラガラガラ……
どのくらい馬車に揺られていただろうか? いい加減にお尻がいたくなってきたし、ギュウギュウに締め付けられたコルセットと馬車揺れのせいで気分が悪くなってきた。
うう……つ、辛い‥‥…早く降りたい……
私がこんなに苦しんでいるのに、向かい側に座る父は無言で窓の外に視線を送っている。
それにしても何故そんな平然とした表情でいられるのだろう? それは確かに生まれて初めて乗る馬車に興奮していたけれども、徐々に気持ちが萎えて来た。
やはり幾ら貴族の馬車といえども、車の乗り心地の良さとは比べ物にならないということなのだろう。
「あ、あの……お父様。お城へは‥‥…」
まだ着かないのでしょうか? と尋ねようとしたとき……
「見ろ! サファイア! ついに敵の本拠地が見えて来たぞ!」
興奮気味に父が窓の外をシュバッと指さした。
「え!? て、敵の本拠地!?」
慌てて指さされた方角を見る。
すると……。
そこにはまるでシンデレラ城の如く……美しい白亜の城がそびえ建っていた――
とうとう日付が変わり、婚約披露パーティーに参戦? する時間がついにやってきてしまった。
「ど、どうでしょうか……? お父様……」
メイド達の手によって髪をアップにし、さながらマリー・アントワネットのようなドレス(しかもピンク色)姿で父の前に姿を現した。
今迄一度も着たことの無いドレス姿は嬉しい反面、何だか気恥ずかしい。
「サファイア……その姿……」
執務室で手にしていたペンをボトリと落とした父は目を見開いて立ち上がった。
「素晴らしい! さすがは私の娘だ! サファイア、そのドレス……本当によく似合っている!」
ツカツカと大股で私に近付いて来ると、父はガシイッと私の両肩を掴んできた。
「うむ! これほどまでに美しい姿で現れれば、あのギルバート王子ですらお前を手放したことを死ぬほど後悔するに違いない。もっとも、今さらやり直したいと頼まれても、絶対に認めることはないがな! アーハッハッハッ!!」
サファイア父は嬉しそうに天井を見上げて豪快に笑う。
「あ……ハハハハ……そ、そうですか……」
若干引き気味になりつつ、愛想笑いする私。それにしても知らなかった。こんなにイケメンなのに、これほどまでに豪快な人物だったとは。あのとき、魔法使いに連れられてこの屋敷を訪れた時は、もっと物静かな父親だと思っていたのに。
私の中で、父親へのイメージがガラガラと音を立てて崩れていく。
「よし! それでは偽の招待状も用意出来たことだし……いざ行かん! 王城へ!」
「は、はい……お父様」
もし偽物の招待状だとバレた日には一体私たちはどうなってしまうのだろうと、若干……というか、かなり不安な気持ちを抱きつつ返事をした。
そうだ、これはチャンスなのだ。
城の何処かには魔法使いが囚われているはず……彼には色々思うところがあるけれど、800年間も囚われているのはあまりに不憫だ。
ついでに助けてあげることが出来ないだろうか……?
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ガラガラガラガラ……
どのくらい馬車に揺られていただろうか? いい加減にお尻がいたくなってきたし、ギュウギュウに締め付けられたコルセットと馬車揺れのせいで気分が悪くなってきた。
うう……つ、辛い‥‥…早く降りたい……
私がこんなに苦しんでいるのに、向かい側に座る父は無言で窓の外に視線を送っている。
それにしても何故そんな平然とした表情でいられるのだろう? それは確かに生まれて初めて乗る馬車に興奮していたけれども、徐々に気持ちが萎えて来た。
やはり幾ら貴族の馬車といえども、車の乗り心地の良さとは比べ物にならないということなのだろう。
「あ、あの……お父様。お城へは‥‥…」
まだ着かないのでしょうか? と尋ねようとしたとき……
「見ろ! サファイア! ついに敵の本拠地が見えて来たぞ!」
興奮気味に父が窓の外をシュバッと指さした。
「え!? て、敵の本拠地!?」
慌てて指さされた方角を見る。
すると……。
そこにはまるでシンデレラ城の如く……美しい白亜の城がそびえ建っていた――