私が蛙にされた悪役令嬢になるなんて、何かの冗談ですよね?
5-14 やってちょうだい
『サファイア! この王子‥‥…殺っちゃっていいかしら!?』
エメラルドさんが目を金色に光らせて私に尋ねてきた。
「ひいぃぃ! 殺っていいはずないだろう!」
ギルバート王子は腰が抜けたのか、床にへたり込んでしまった。
「そうですねぇ……やってしまうのもいいですが……その前に!」
『何かしら?』
「あの……手のロープを解いて貰えないでしょうか?」
すると――
「僕が外すよ」
突然クロードが私の側にやってくると、じっと見つめてくる。
「あ……お、お願いします……」
「うん」
クロードは私の背後に回ると、ロープを解くと更にみつめてくる。それが何となく気恥ずかしかったので、私は……。
「ありがとうございます。ついでに父のロープも解いて貰えますか?」
相変わらず床に転がり、モガモガ唸っている父を指さした。
「あ? そうだったね。ごめん」
クロードが父のロープを解いている間に私は腰を抜かしているギルバート王子を見おろした。
「さて、ギルバート王子。その指にはめている指輪を頂きましょうか?」
そして手を伸ばした。
「な、何!? この指輪をか? だ、ダメだ! 渡せるはず無いだろう!」
ギルバート王子は両手で指輪を死守する。すると……
『どうやら死に急ぎたいようね……?」
エメラルドさんが口から煙? を吹き出しながら長い首をギルバート王子に近付けた。
「ひいいいいいい! さ、さ、差し上げます! ど、ど、ど、どうぞ!」
ブルブル震えながらギルバート王子は指輪を外して、差し出してきた。
「そう、素直が一番ですよ? 王子」
「く、くそ……! だ、だがな! そ、その指輪は……ダイヤのような価値のあるものじゃないからな! 何も分かっていないお前にとっては無価値の指輪だ!」
腰を抜かしながらも喚くギルバート王子。
『お黙り!!』
そこへ、エメラルドさんがドラゴンブレス? を放ちながら一喝する。
「ぐわああ!」
ギルバート王子は風圧で吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられて動けなくなってしまった。恐らく失神してしまったのだろう。
「「……」」
そんな様子を唖然としながら見つめるクロードと父。会場はいつの間にか、私達をのぞいて誰もいなくなっていた。
「やっぱり……この指輪、間違いないわ……!」
指輪を手に取り、じっと見つめる。
『サファイア、その指輪……どうかしたの?』
「はい、この指輪……魔法使いを封印している指輪に違いありません!」
私はこの小説を知っている。確かギルバート王子は魔力を封印している指輪を所持している描写があった。恐らく、その魔力とは……魔法使いのことに違いない!
『ええ!? アベルを!?』
「そうです。エメラルドさん! この指輪……踏みつぶしちゃってください!」
『ええ! そ、そんなことして大丈夫なの!?』
「はい、大丈夫です!(多分)もし、何かあってもそのときはそのときです!」
『そうね。万一のことがあっても、それは仕方ないことよね? 任せて頂戴!』
「何!? そ、そんな無責任なことをして良いのか!?」
ようやく猿轡から解放された父が喚く。しかし……散々無責任なことをした父には今の言葉は言う資格は無いだろう。
「さぁ! 景気よく踏みつぶしてください!」
私は床の上に指輪を置いた。
『いいわよ! それーっ!』
エメラルドさんは巨大な尻尾を振り上げると指輪目掛けて振り下ろした。
パリーン!
小さな金属音が割れるような音と共に、エメラルドさんの尻尾の隙間からまばゆいばかりの閃光が放たれた――
エメラルドさんが目を金色に光らせて私に尋ねてきた。
「ひいぃぃ! 殺っていいはずないだろう!」
ギルバート王子は腰が抜けたのか、床にへたり込んでしまった。
「そうですねぇ……やってしまうのもいいですが……その前に!」
『何かしら?』
「あの……手のロープを解いて貰えないでしょうか?」
すると――
「僕が外すよ」
突然クロードが私の側にやってくると、じっと見つめてくる。
「あ……お、お願いします……」
「うん」
クロードは私の背後に回ると、ロープを解くと更にみつめてくる。それが何となく気恥ずかしかったので、私は……。
「ありがとうございます。ついでに父のロープも解いて貰えますか?」
相変わらず床に転がり、モガモガ唸っている父を指さした。
「あ? そうだったね。ごめん」
クロードが父のロープを解いている間に私は腰を抜かしているギルバート王子を見おろした。
「さて、ギルバート王子。その指にはめている指輪を頂きましょうか?」
そして手を伸ばした。
「な、何!? この指輪をか? だ、ダメだ! 渡せるはず無いだろう!」
ギルバート王子は両手で指輪を死守する。すると……
『どうやら死に急ぎたいようね……?」
エメラルドさんが口から煙? を吹き出しながら長い首をギルバート王子に近付けた。
「ひいいいいいい! さ、さ、差し上げます! ど、ど、ど、どうぞ!」
ブルブル震えながらギルバート王子は指輪を外して、差し出してきた。
「そう、素直が一番ですよ? 王子」
「く、くそ……! だ、だがな! そ、その指輪は……ダイヤのような価値のあるものじゃないからな! 何も分かっていないお前にとっては無価値の指輪だ!」
腰を抜かしながらも喚くギルバート王子。
『お黙り!!』
そこへ、エメラルドさんがドラゴンブレス? を放ちながら一喝する。
「ぐわああ!」
ギルバート王子は風圧で吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられて動けなくなってしまった。恐らく失神してしまったのだろう。
「「……」」
そんな様子を唖然としながら見つめるクロードと父。会場はいつの間にか、私達をのぞいて誰もいなくなっていた。
「やっぱり……この指輪、間違いないわ……!」
指輪を手に取り、じっと見つめる。
『サファイア、その指輪……どうかしたの?』
「はい、この指輪……魔法使いを封印している指輪に違いありません!」
私はこの小説を知っている。確かギルバート王子は魔力を封印している指輪を所持している描写があった。恐らく、その魔力とは……魔法使いのことに違いない!
『ええ!? アベルを!?』
「そうです。エメラルドさん! この指輪……踏みつぶしちゃってください!」
『ええ! そ、そんなことして大丈夫なの!?』
「はい、大丈夫です!(多分)もし、何かあってもそのときはそのときです!」
『そうね。万一のことがあっても、それは仕方ないことよね? 任せて頂戴!』
「何!? そ、そんな無責任なことをして良いのか!?」
ようやく猿轡から解放された父が喚く。しかし……散々無責任なことをした父には今の言葉は言う資格は無いだろう。
「さぁ! 景気よく踏みつぶしてください!」
私は床の上に指輪を置いた。
『いいわよ! それーっ!』
エメラルドさんは巨大な尻尾を振り上げると指輪目掛けて振り下ろした。
パリーン!
小さな金属音が割れるような音と共に、エメラルドさんの尻尾の隙間からまばゆいばかりの閃光が放たれた――