【短】いろんな花があるけれど
「あの、あんなところで何やってたんですか?」
気になってしまう存在だから気になってしまうことを聞いていた。
綺麗な横顔から真正面を向けられる。これまた美形だ。すごいなと感心してしまった。
「かくれんぼ、的な?」
「かくれんぼ……」
「馬鹿だよな。大学生にもなってまだ」
「――え!?」
どうしたの、と首を傾げるその人に私は目が離せず、舐めるように下から上、上から下と視線を辿る。
え、今……え?
「大学生、なんですか」
「うん。そうだけど」
これまた語尾に(笑)。
まじか。てっきり同じくらいの高校生かと……。
「あ、もしかしてまだ学ラン着てるような感じしてた的な?」
これは完全に苦笑い。
すみませんと謝ると宥められた。
「やっぱまだそう見られるのか〜軽くショック」
「す、すみません」
「謝んなくていいってば。君は高校生?」
「あ、はい」
「若いねぇ」
いや、何言ってるんだ若いのはあなたもですよ?
宙を見上げる大学生さんに心の中でそう言う。
そういえば、花火終わっちゃったのかな。
「――花火終わっちゃったかね?」
そんな声がまた耳に届く。どきんとした。同じこと考えてた……。
ぎこちなく「そうみたいですね」と言うと「君は見れた?」と聞かれた。尽かさず頷く。後付けでほんの一部分しか見れてないと話すとそれは残念と自分の事のように眉根を下げた。
また、どきんとした。