初恋 〜この夏は、キミのために〜
「港祭りの日か……」
「病室で話すだけじゃ、関係に進展なんかないだろ。恋愛は勢いが大事だ。それに、夏祭りに一緒に行ける段階で、告白もオーケーもらえるだろ」
「こ、告白!?」
話す合間に喉を潤していたジュースをまた吐きそうになった。
それくらい、旭にとって衝撃的な言葉だったのだ。
「いちいち驚くなよ。もしかして、このまま友達で終わって良いのか?」
「そ、それは……」
良いわけがない。
しかし、誘える勇気なんてあるわけがない。
雅とは、毎日面会時間に会っており、仲はだんだんと深くなっていた。
好きな食べ物は甘い物。
特に、チョコレートに目がないといっていた。
そして、東京の学校へ通っているという。
夏休みが終われば、また東京へ戻ってしまう。
この機会を逃せば、雅との関係が終わってしまうことになる。
これほど女性と仲良くなれたのは、初めてのことなので旭は舞い上がっていた。
「当たって砕ける、それも青春だ」
「砕ける前提で言わないでくれよ」
告白する勇気はなくても、関係を進展させたいという気持ちは強くある。
翔からの言葉で、2週間後に控えた港祭りに誘う決心ができた。