初恋 〜この夏は、キミのために〜
「あっ、そ、そう、だよな! ごめん! 俺、なんとなーく雅ちゃんと仲良くなれた気がしてた! あんまり長居したら悪いし、俺そろそろ帰るよ」
きたばかりだというのに、旭は早口でそう言い勢いよく椅子から立ち上がった。
ガタッと椅子が倒れた。
しかし、明日を元通りにする余裕もなく病室を後にしようとした。
「待って……! 違うの! 私がお祭りに行けないのは……病気だからなの……!」
「……え?」
雅の言葉に動きがぴたりと止まった。
旭は、健康だけが自慢で病気とは無縁な生活を送っていた。
そのため、投げる言葉が見つからなかったのだ。