初恋 〜この夏は、キミのために〜
※※※
一時間後。
ーーコンコン。
いつものようにドアをノックする音が聞こえ、「どうぞ」と答えれば人懐っこい笑みを浮かべた旭が立っていた。
「お待たせ! さ、雅ちゃん。中庭に行こう」
「うん……! 私、てっきり旭くんに嫌われたと思ってたよ」
「俺に?」
「うん。だって、病気のことを言ったら、すごく困った顔をしてたから」
「そんなわけないだろ。むしろ、雅ちゃんのために頑張りたいと思ったよ。夜には、花火も上がるんだけどさ、それ俺も手伝ったんだ」
「ーーえ?」
自分のために花火の準備をしたと聞き、雅は目を丸くして驚きつつ嬉しく思った。