初恋 〜この夏は、キミのために〜
店の外で話をしていると、暑さでまた喉が渇いた旭はもう一本ジュースを購入し、飲んだ。
(……これを飲み終えるまでに終わってなかったら)
ナンパの結末が気になり、ジュースを飲むペースは、1本目より断然遅くなった。
なぜか、ナンパの行方が気になってしまった。
「……仕方ねぇ」
空になったジュース缶をゴミ箱に捨て、ナンパの元へ向かった。
「お姉さん、この辺の子?」
「初めましてだよね? こんな可愛い子がいたら、俺すぐに声かけちゃうもん」
「こんなとこじゃなくてさ、少し離れた場所だけど楽しめるとこあるからそこ行こ?」
1人の女の子を自分のものにするために、男達が懸命に口説き落とそうとする姿は滑稽だった。
このような現場に遭遇するのは初めてで、近づくたびに心臓の音が早くなった。
そして、色々な可能性が頭をよぎった。
(もし、女の子がナンパに喜んでたらどうしよ。それだけ盛り上がってるから、ここまで話し込んでる可能性もあるよな……もしそうだったら、自然と離れるようにしないと)
頭の中では、シュミレーションが繰り返された。
しかし、彼らに近づいたことでその心配は無用であることが分かった。