初恋 〜この夏は、キミのために〜
告白
※※※
数日後。
旭は、【502号室】と書かれたメモを片手に部屋番号を確認していた。
「502……502……ここだな」
目的地に到着すると、大きく深呼吸をしてから軽くノックした。
「はい。どうぞ」
細く可愛らしい声に、心臓がドキッと跳ね上がった。
「っ、あ、し、失礼します」
ここに到着するまでに、何度もシュミレーションしたはずなのに、いざとなると声が裏返ってしまった。
しかも、まだドアも開けていない。
引き戸に手をかけるも、開けるのに失敗してガタガタンッとドアを揺らしてしまう。
それほど旭は緊張しているのだ。
「えっと、体調……大丈夫ですか?」
ようやくドアを開けると、早速彼女に問いかけた。
ここは、商店街でナンパされ倒れた女子の部屋である。
「えぇ、とても良いですよ。あなたはーー旭さん、ですか?」
「え、な、なんで俺のこと……?」
(しかも、いきなり名前で呼べるって……美人だから、男の扱いに超慣れてるとか?)
彼女に対してよからぬ想像が働いた。
あの日、困ったふりをして本当はナンパを楽しんでいたのではないのかとまで思えた。