悪役令嬢なママを城内アイドルにします～歌って踊れるお妃様育成物語～

☆☆☆

「はっ」
息を呑んで目を覚ますとそこはいつものエメラルドの部屋だった。

天蓋付きベッドの上で起き上がると、頬に涙が流れていることに気がついた。
転生してからお母さんのことを夢に見るのは初めての経験だった。

きっと、ママの命が危ういから、記憶がリンクしているんだろう。
「ママだけは守る。絶対に」

そう呟いてベッドから出たとき、クッションの上のプルーが顔を上げた。
「プルー、起きてたの？」

普段は太陽が上がり切るまで起きてこないムクイヌへ向けて声をかける。
「寝れるわけないだろ。エレーヌが殺されるかもしれねぇんだぞ」

寝不足な声で文句を言って大きくあくびをする。
「もしかして、一晩中どうすればいいか考えてたとか？」

「その、もしかしてだよ。でもおかげで妙案が浮かんだぜ」
「なになに！？　その妙案って！？」

思わずプルーの顔に自分の顔をグイッと近づける。