悪役令嬢なママを城内アイドルにします~歌って踊れるお妃様育成物語~
そうしてしばらく暗闇を彷徨っていたけれど、ある日目が覚めるとママとパパがいて私がエレーヌという少女に転生したことがわかった。

エレーヌは今年5歳になる活発な女の子で、最初はどうすればいいかとまどったけれど、前世の記憶を持っていた私はアイドルで培った可愛さを最大限に駆使して、ママとパパに最上級の愛情を注いでもらえるようになった。

「エレーヌは本当に可愛いわねぇ。私の天使」
ママがそう言いながら私の鼻についていたクリームを指先で拭き取る。

「あたちも、ママだぁい好き!」
そう言って抱きつけばママは私を抱きしめ返してくれる。

その時の顔は頬が赤らんで凛とした目が下に下り、頬がフニャリと緩んでいる。

相手が今どんな言葉をかけてほしいのか、どんな仕草をすれば可愛いのか、令和の東京でも、ここラルフルでも大して変わらないことがわかってきた。

ずっとこのまま幸せに暮らすことができるかもしれない。
そう思っていた矢先のことだった。

「ちょっと姉さん、そんなところにいたら邪魔じゃないの」
城内でママの声が聞こえてきたので私はそっと近づいてみた。
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