悪役令嬢なママを城内アイドルにします~歌って踊れるお妃様育成物語~
ママが膝をついてしゃがみ込み、私の体を後ろから抱きしめた。
その手は微かに震えていて自分が今までしてきたことを懺悔しているように感じられた。

「ママ。ママも言わなきゃいけないことがあるよね?」
振り向いて言うと、ママの目に涙が浮かんでいるのが見えた。

妃になるように教育されて育ってきてママが、アイドルとしても努力してみんなを魅了した。
きっとこれから先はこの国を大きく変えることだってできるはず。

ママはコクンと頷くと私の前に立った。
そして……「フーリア様」と、震える声で呼んだ。

突如名前を呼ばれたフーリアは動揺して、視線を泳がせる。
けれど最後にはしっかりとママを見つめ返した。

「今まで嫌なことばかりしてしまって、ごめんなさい」
頭を下げて、申し訳無さそうな声で言う。
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