線香花火のようなあの夏の恋
「今からエキストラの生徒たちに挨拶行くんだろ?生徒会長がなかなかの美人だったよ」


「へぇ…」



こういうところが苦手なのだ。


速水くんに愛想笑いを返しながら、さっさとその場を去ろうとする。



「あ、でも、俺の中では愛菜ちゃんが一番だよー!」



そんなことを恥じらいもなく堂々と言ってくる速水くんに「当たり前だろ」と返したくなるが、グッと堪えてまた愛想笑いを返した。



「愛菜、速水くんのこと苦手なんでしょ」


「う…っ、ちょっと態度に出ちゃったかなぁ?だってあの人、チャラくて苦手なんだもん」


「そうかもしれないけど…今回は一人くらい仲のいい友達作りなさいよ。愛菜はすぐ人と壁を作るんだから」



昔から仕事で色んな人と関わってきたけど、私には友達と呼べる友達が一人もいない。
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