線香花火のようなあの夏の恋
今までに共演してきた同い年の子とかにたまにご飯や遊びに誘われたりもするけど、私から誰かを誘ったことなんて一度もない。


カナちゃんによると、私は人と壁を作ってしまう癖があるらしい。


決して素の私を見せようとしていないんだとか…。私にはそんなつもりはないのだが、無意識に演技をしているみたいに表情も言葉も全部作ってしまうのだ。



「愛菜、挨拶して」



コソッとカナちゃんに耳打ちをされて、ハッと我に返る。


いつの間にか教室に集められたエキストラの生徒たちの前に立っていた。



「あ、えっと、高城愛菜です!貴重な夏休みという時間を使って撮影に協力してくださり、ありがとうございます。今日からよろしくお願いします!」



わっと生徒たちが歓声を上げ、あちこちから拍手が飛んできた。



「じゃあ愛菜ちゃん、撮影の準備ができ次第始めていくから、そのつもりで」


「はい!」
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