線香花火のようなあの夏の恋
「な…っ!?」



突然何を言い出すんだ。図星で言葉も出ない。



「人気女優なんて言われてるからもっとすごいやつかと思ったのに、恋バナ好きのただの女子高生だな」


「わ、私にだって恋愛経験くらいあるし!なめないでくれる!?今だっていい感じの人がいるんだから!」


「へぇ、そう」



思わずムキになって嘘を並べてしまったが、梶くんは涼しい顔でまるっきり興味がなさそうだった。


こ、こいつ…本当にむかつく!





「はい、カット!いいね、愛菜ちゃん。今日はここまでにしよう」


「はい!ありがとうございました!」



監督にニコッと満面の笑顔で返しながら、内心は梶くんのことで頭がいっぱいだった。
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