線香花火のようなあの夏の恋
速水くんはすすっと近づいてきたかとか思うと、ちゃっかり隣を確保してきた。



「速水くんこそ、さすが人気俳優。こっちも感情を乗せやすいっていうか、自然と花梨になりきれちゃうんだよね」



チャラ男なところは置いといて、俳優としてはやはり才能があると純粋に尊敬する。


その気持ちは一緒に共演をしてからさらに実感した。



「あはは、照れるなぁ。どう、俳優の俺を間近で見てみて?惚れそうだったりしないー?俺、愛菜ちゃんなら大歓迎だなー」


「ははーどうかなー」



速水くんに愛想笑いを返してから、カナちゃんを探しに行くフリして廊下に出る。


俳優としては尊敬するが、やはり人としては苦手だ。今日もまた、私は壁で私を守る。





「女優がこんなとこいていいの?」


「わ…っ!?」
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