線香花火のようなあの夏の恋
「わ、わー!お店がたくさん!」



縁日みたいにぎっしりと色々なお店が並んでいて、あちこちから食べ物のいい匂いがしてきた。



「あ、コロッケ!食べたい!えまってなにあのクレープ、でか!うわ、チーズ祭りやってるお店もあるじゃん!」



すっかり我を忘れて、子どものように一人で盛り上がってしまう。



「はは、好きなもの食えよ。あんな公園で一人で食べる飯よりも何倍もうまいから」



優しく笑う梶くんに、不覚にも少しだけどきりとしてしまう。



もしかして、私のためにここに連れてきてくれたのかな…?


なんて、そんなわけないか。



「じゃあ梶くんはあれとあれとあれ、買ってきて。シェアして食べるんだから」
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