線香花火のようなあの夏の恋
いつの間にか目の前に梶くんが立っていて、驚いて椅子から落ちそうになる。



「あ、えっと、撮影はあと十分後とかからだから…」


「へぇ」



梶くんは私の前の机の中からノートを取り出した。



「ああ、ここ、俺の机。ノート忘れたから取りにきた」



不思議そうにしていたのが伝わったのか、梶くんが机を指差して説明してくれた。



「…え!?ここ、梶くんの教室なの?」


「ああ。言ってなかったっけ?」



この教室で梶くんは毎日授業を受けているのかぁ…。



「あ、そうだ!ねえそこ座ってみてよ」
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