線香花火のようなあの夏の恋
「行くよ」


「え?わ…っ」



男の子がぼそっと耳打ちをしてきたかと思うと、突然私の腕を掴み走り出した。



「はあはあ…っ、ちょ、たんま!」



体力に限界を感じてなんとか声を張り上げると、男の子はやっと止まってくれた。



「う…っ、走りすぎてきもちわる…っ」


「悪い。ここまで来ればもう平気だろ」



たしかにさっきの男の人が追いかけてくる様子はなく、少し安心する。



「ありがとう、助けてくれて」


「いや、別に。たまたま目についただけだし」
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