線香花火のようなあの夏の恋
速水くんの言う通り、芸能人と一般人ということには変わりないから。



「愛菜ちゃん、もしかして…」


「ううん、大丈夫。まだ戻れる。きっと素を出せた男の子が初めてだったから、勘違いしてただけ…」



勘違い…だった?本当に?



最初は私のことなんてまるで興味がなく、ムカつくやつだと思っていた。


だけど、梶くんを知っていくうちに本当は優しくて、唯一私と同じ目線にいてくれて、自分がただの女の子になれたようなそんな錯覚をしてしまうほど一緒にいて落ち着いた。



恋にずっと憧れていて、だけど仕事の方が大切だったから恋なんてしてる場合でもなくて。


だからこの気持ちが本当に恋なのかわからないし、勘違いだと思い込んでしまえばこの気持ちはきっと消えていくとわかっている。


それでも…。私はこの初恋をなかったことになんてしたくない。



「…俺じゃあ、ダメ?」
< 43 / 100 >

この作品をシェア

pagetop