線香花火のようなあの夏の恋
「初めて…見た」


「え?」


「愛菜ちゃんの作ってない笑顔、初めて見た…」


「あはは、なにそれ。もう速水くんに作る必要ないしね」



前まで苦手だと思っていた速水くんも、素を出してみたら案外いい人だと知ることができた。



「速水くんって、ただのチャラ男じゃなくて実はいい人だったんだね」


「うわ、素を出し始めたら結構言うねー。面と向かってチャラ男とか言ってきたの、愛菜ちゃんが初めてだからね?」



速水くんと笑っていると、中から監督が撮影再開だと大声で知らせてきた。


梶くんに恋する覚悟はできた。何があったとしても、きっともう私は挫けない。





撮影は順調に進んでいき、八月も残すところあと二週間ほどになった。
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