線香花火のようなあの夏の恋
息を整えながら、助けてくれた男の子にちらりと目を向ける。



よく見ると、この男の子なかなかかっこいいな…。


サラストの黒髪なんて爽やかに風になびいちゃってるし、顔のパーツはどれも一つ一つが整っていてモデル顔負けの要素を持っている。



「…ん?ここ、うちの前じゃん」



そういえばここはどこだろうと周りに意識を向けてみると、ここが見慣れた場所なことに気がつく。



「適当に俺の家に向かって走ってたけど…おまえ、近所のやつだったんだ」



男の子は驚いたように私の家の向かい側にある“(かじ)”と表札の出ている家を指差した。



「えーすごいね!まさかのご近所さんだったなんて、なんか運命みたい!」



毎日仕事で忙しいため駅近のカナちゃんちにいつも帰っているから、家に帰るのは休みの日くらいで近所に同い年くらいの男の子がいたなんて知らなかった。
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