線香花火のようなあの夏の恋
「いけない、私行かないと」


「ああ、頑張れよ。見てるから」



教室に戻ると、カナちゃんに勝手にどっか行かないことと軽く怒られた。



「…もう大丈夫そうだね」


「え?ああ、うん!」



速水くんに笑顔で頷く。



フリでもキスシーンを梶くんに見られるのは少し複雑な気持ちだけど、私の演技を好きだと言ってくれたんだ。


だから、頑張らないと。



「…ムカつくなぁ。さっきまで不安そうだったくせに、あいつと少しいただけなのに幸せそうな顔して戻ってくるんだから」


「え?」


「それじゃあ愛菜ちゃんも来たことだし、撮影始めるよー」
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