線香花火のようなあの夏の恋
軽くだったけど、たしかに唇に…。



「…ねえ、今愛菜ちゃんと蒼くん、本当にキスしてたよね?」


「え?そうだった?フリって話じゃないの?」



生徒たちのざわつく声が聞こえてきて、ハッと我に返る。


今、速水くんに本当にキスされた…?



「愛菜ちゃん」



なんでもなさそうな顔をしている速水くんに、思わずびくりと反応してしまう。



「ごめん。ついマジになっちゃったっていうか…俺、本気で愛菜ちゃんのこと好きになっちゃった」


「…え?」



周りに聞こえないように速水くんが顔を近づけてきて、そんなことを言ってきた。
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