線香花火のようなあの夏の恋
「だから突然キスしたことは謝るよ、ごめん。だけど、俺の気持ちも知っといて」


「な、何言って…」


「次のシーン行くよー」



速水くんに反論する間もなく、撮影が始まった。





「はあ…最悪…」



やっとトイレに行くことができて、唇を何度も何度も洗いながらため息をつく。


ファーストキス、だったのに…。



–––「俺、本気で愛菜ちゃんのこと好きになっちゃった」



あれは告白、だよね…。


ううん、だからと言って、急にキスするは最低だ。あんなの速水くんは慣れているんだろうけど、こっちは違うのだから。
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