線香花火のようなあの夏の恋

「あなたは…女優の高城愛菜？」



夏希と呼ばれた女の子が驚いたように目を丸くしていた。


そういえば目の前の男の子があまりにも普通に接してくるものだから、自分がテレビに出ている有名人なことを今さら思い出す。



「女優？おまえ、女優だったの？」


「ちょっと、絢斗。おまえなんて失礼でしょ。でも、なんで高城愛菜がこんなところに…」


「あ、えっと、実は家がそこで。あまり帰らないから私も近所に同い年くらいの子がいたなんて今日初めて知ったよ」



こんなにペラペラと個人情報をバラしていいのだろうかという考えがふと頭をよぎったけど、まあいいかと楽観的に考え直す。


カナちゃんにバレたら怒られそうだけど。



「じゃあ、私は忙しいからこれで」



男の子に向かってあっかんべーをして家に入る。