線香花火のようなあの夏の恋
「はーい…。じゃあね、お母さん」


「あ、そうだ愛菜」


「ん?」


「愛菜がお母さんに似てるとこ、もう一つあった。素直になることが苦手で、本当に言いたいことは隠しちゃうところ」


「…え?」



お母さんはニコッと優しく微笑むと、私の頭を撫でてきた。



「お父さんにも今まで何度も素直になれなくて迷惑かけたのよ。今の愛菜はその頃の私にそっくり。何かを言いたそうな、ずっとそんな顔してる」



お母さんは「さて、愛菜はこれから大仕事があるんだから、いってらっしゃい」と送り出してくれた。



「知ってる?愛菜のママとパパは、今日みたいなあっつーい夏の日に出会ったんだって」


「え?そうなの?」
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