線香花火のようなあの夏の恋
助けてくれたことは感謝しているけど、私をアホって言ったことだけは絶対に許さないんだから…!





「ついたよ、愛菜」


「はーい!」



今日からいよいよ映画撮影が始まる。


私がヒロイン役を務めるこの映画は、いかにも高校生の恋愛を甘酸っぱく詰め込んだもので主演が決まった時からずっと楽しみにしていた。


撮影場所は現在夏休み中の高校を借りるみたいで、エキストラとしてその高校の生徒さんにも何人か出演してもらう予定だと聞いている。



「愛菜は元気いっぱいの十六歳、花梨(かりん)役だったと思うけど、この役、素の愛菜をそのままに出していいと私は思ってるから。愛菜らしくやればいいからね」



ワクワクとした気持ちの裏には緊張や不安もあり、その気持ちまで見透かしているカナちゃんがポンポンと優しく頭を撫でてくれた。



「任せて!なんたって、国民的女優を夢見る愛菜様なんだから」
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