線香花火のようなあの夏の恋
だけど今までの人生で一番濃くて思い出すだけで苦しくなる、そんな夏となった。



「最後に、高城さんと速水さんは最近共演されてらっしゃることが増え、ファンの一部の間では実は付き合っているという噂が流れているそうなのですが、その噂は本当なのでしょうか?」



それまで静かだった会場内が少しずつ騒がしくなってきた。



「えーっと…」



こういう時はなんて言えばいいんだろう…。


付き合ってはいないのだからそれを言うべきだとわかっているが、この期待の感じからして何を答えても根掘り葉掘り聞かれそうだ。



「僕と高城さんは付き合っていません。ぶっちゃけちゃうと、一年前に僕が告白してフラれてます」


「な…っ、速水く…」



「ええー!?」と会場中から割れそうなほどの歓声が上がり、私の声なんて掻き消された。
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