線香花火のようなあの夏の恋
だから、別にやってもいいとそう思ったんだ。



「バカだな夏希は」


「な…っ、いきなりなに」



絢斗は教室に残り生徒会長として雑務をしていた私に声をかけてきた。


そして何も言わずに隣に腰掛けて、黙々と手伝ってくれていた。



そんな絢斗が急に私をバカだと言ってきたんだ。



「みんなやりたがらないくらい大変な生徒会長に、先生に頼まれたからってわざわざやってあげるなんて。とんだお人よしだな」


「仕方ないでしょ。困ってたんだから」


「昔から困ってた人をほっとけない性格、変わってないな。まあ夏希が困った時は俺が助けるよ。いつでも相談しろよな」



…本当にこの人は罪深い人だ。


私が後先を考えずに物事を進めてしまうのも、困った時は必ず絢斗が助けてくれるという安心からだというのに。
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