線香花火のようなあの夏の恋
愛菜ちゃんは、結局あいつに想いを伝えることはなかった。


きっとこのままもう会うつもりもないんだろう。



「俺さ、きっと愛菜ちゃんがあいつに恋してなかったら、愛菜ちゃんのこと好きになってなかったと思うんだよね」


「…え?」


「だって俺が惚れた愛菜ちゃんは、あいつに恋してる顔が世界で一番可愛い愛菜ちゃんだったから。だから、愛菜ちゃんはずっとあいつのこと好きでいてよ」


「…なにそれ。意味わかんない」



ふふ、と愛菜ちゃんが力なく笑った。


本当なんだ。悔しいけど、あいつの隣にいる愛菜ちゃんは世界で一番可愛いと思うくらい、輝いて見えていたから。



「これが最後の告白。愛菜ちゃんのことが好きです。俺と付き合ってください」


「…ごめんね。私は、誰とも付き合えない」
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