線香花火のようなあの夏の恋
それでいいんだよ、愛菜ちゃん。


愛菜ちゃんはきっと自分のした選択が正しいのか迷う日が来ると思う。


だけど、今はこれでいいんだ。



俺にはわかる。二人は運命の糸でもついているんじゃないかってくらい、相思相愛なんだから。





「本当、妬けちゃうな…」



会場を飛び出していった愛菜ちゃんの後を追うようにして、一人の男子高校生が出ていった。



愛菜ちゃんは一年が経った今も、ずっと俺が言った通りにあいつを想い続けていた。


本人は自覚がないんだろうけど、ふとした瞬間に思い出しているのがまるわかりなくらい、愛菜ちゃんはあの頃の俺が好きだった恋する女の子の顔をしていたから。



最初から叶う確率なんて一%もなかったけど、それでも愛菜ちゃんを好きになったことに後悔は一つもなかった。


だけど…次にする恋は、好きな人の好きな人になりたいって、そう思ったかな。
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