線香花火のようなあの夏の恋
「まずは、線香花火!」


「え?普通、線香花火って最後にするものじゃないの?」


「いいの!私、線香花火が一番大好きだもん」



早く火つけて、と線香花火を差し出してくる愛菜に思わず笑いながら、愛菜のと自分の二本分に火をつける。



「もう、夏も終わっちゃうね」


「ああ、明日から九月だしな」



パチパチと静かに燃える線香花火を見つめている愛菜の横顔が、あまりにも綺麗で思わず見惚れる。



「…そういえば去年の夏、線香花火の火が私が先に落ちちゃった時、絢斗私にキスしようとした?」


「え?」



そういえば、そんなこともあったなと思い出す。
< 99 / 100 >

この作品をシェア

pagetop