生徒会のお姫様は無自覚に魅了する~男子校に入学しました~
「なぁ月」
部屋のインターホンが鳴り、外に出ると、空がいた。
「今から暇か?」
「ん?暇だけど。なに、喧嘩?」
「いや・・・」
空はゆるく首を横に振り、窺うようにこちらを見る。
「デートしないか?」
「デート?どこ行くの?」
「服を見に行こうと思って」
「あぁ、そういえば空の将来の夢ってファッションデザイナーだっけ?」
「まぁ、月の専属だな」
今なんて言ったんだろう・・・まぁいいか。
「いいよ、行こ」
空の夢は応援したいし、ちょうど服買おうと思ってたんだよねぇ。
「そのまま行けるか?」
「ん、行けるよ」
ポケットから黒マスクを出しながら答えると。
「それなんだ?」
「顔隠すための道具~」
私は結構目立つ色彩をしている。
だから、いつもその目立つ色彩を隠すためなら不審な格好をしたって気にならないのだ。
『ママー、あの人変な髪と目の色してるー』よりも『ママー、あの人怪しい格好してるー』のほうがいい。
一度部屋のに戻ってカバンを持ち、また外に出る。
「行くか」
空の声に頷き、私はパーカーのフードを被った。
「なんか・・・男の俺よりも格好良くないか?」
「そう?空のほうが格好いいと思うけど」
所詮、私は女子の底辺だ。
女子の可愛さはないし、ましてや格好良さもない。
みんなを笑わせられるようなユーモアもないし、私は微妙なキャラだ。
「っまたそんなことを・・・もういい、行くぞ」
あらら・・・なんか空が拗ねちゃった。
怒っているわけではないとわかっているので、放置。
のんびりと空の後姿を眺める。
見ない間にまた背が高くなったな・・・。
髪は・・・伸びたけど切ったんだろう、空の髪形はいつも変わらない。
男らしさというか・・・前まで「男子!弟!」って感じだったのに、今は「男性!兄!」って感じだ。
なんか大人っぽさも増えていろいろ負けた気がする。
「・・・むうん?」
不意に舌足らずな空の声が耳に入る。
「・・・すかい?」
真剣な表情に思わず同じように返事をすると、空の唇が動く。
「う・・・い・・・あ・・・お?」
母音だけで言うと、そうなる。
「ううん?むうん、かな。・・・あ、い、い、え、う?」
なんて言ってるか、「むうん」(多分)の時しかわからなかった。
「空、なんていったの」
「・・・わかる日が来るさ」
なんだか悲壮感漂う空に少しだけ戸惑う。
口ぱくって難しいんだな・・・なんて現実逃避。
ごめんよ、空。
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