爽やかなイケメンくんに翻弄されています。
「でも……本当に教えるの上手くないからね?」


「ありがとう!」


 先程、わたしが開けた距離を大きな一歩でいとも簡単に詰められる。

 そして、気弱そうに胸元にやんわりと当てていた両手を、一ノ瀬くんの大きな手でぎゅっと包み込まれた。


 突然のことに目を見開く。


 こんなふうに男の子に手を包まれるのも、もちろん初めてだった。


 自分より大きくて暖かい手に、男の子ということをありありと意識させられる。


 やっと熱が冷めてきたというのに、先程と同じようにだんだんと顔は熱くなっていく。


 握られているのも恥ずかしいけれど、赤い顔を見られるのはもっと恥ずかしい。


 一ノ瀬くんから逃れようと手を必死に動かす。


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