爽やかなイケメンくんに翻弄されています。
 しかし、手はびくりとも動かない……。


 痛くない程度にしっかりと両手を包み込まれている。


「えっと、そろそろ手を離してくれないかな……?」

 
「あ!ごめん!嬉しくてつい。」

 
 そう言うと、一ノ瀬くんは慌てて手を離してくれた。

 
 望んでいたことなのに、手が離れたことを残念に思う。


 って!わたしは何を思っているの!

 ほんの少しだけ、温もりが離れていったのが寂しかっただけで、一ノ瀬くんに手を握られていたのが残念だったわけじゃない!


 誰に言うでもなく、心の中で言い訳を並べる。


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