爽やかなイケメンくんに翻弄されています。
一ノ瀬くんの方をチラリと見る。
真剣な顔をして勉強している姿は、二人きりなことも、距離が近いことも、全然気にしているような素振りはなかった。
こんなに距離が近いのに一ノ瀬くんは、全然気にしてないな。
やっぱり、人気者だし異性と二人きりになるのも慣れてるよね。
気にしてないで、わたしも勉強に集中しなきゃ。
気合いを入れ直す。
最初は一ノ瀬くんの勉強を教えるだけにしようと思っていた。
けど、一ノ瀬くんが頑張っている間、何もしないのは気が引ける。
そこでわたしも一緒に勉強をすることにした。
わたしが勉強しているのは数学。
数学って一番、苦手なんだよね……。
数字の羅列を見ているだけで頭が痛くなってくる気がする。
そんなことを思いながら、数学と格闘していると、消しゴムがコロンと転がってくる。